第三十九話 少年期【22】
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「それにしても、よく魔力が持ったわね。複数の魔法を随時発動させて、継続させ続けるなんて」
「ぶっちゃけ思いつきだったしなー。未だに全身がだるい」
『当たり前です。あんな半端な魔法を使い続けたら、魔力消費が激しくて当然ですよ』
体育祭昼休み。俺は母さんが作ってきてくれたコロッケを口に含み、咀嚼している。現在俺は、先ほど俺と徒競走で競い合ったクイントと、俺達の試合を録画していたコーラルに呆れられていた。コーラルから徒競走での話を聞いていると、確かに自分でもまだまだだったと思う。だけどさ、もうちょっと俺の健闘を褒めてくれてもよくね?
「それにしても『サークルプロテクション』ね。撮ってくれた動画を見たときはびっくりしたな。本当に1つに魔方陣がくっついていたし」
『『疑似』が前に付きますけどね。今度きちんとした手順をお教えします。あの方法は効率が悪すぎますので』
コーラルからの魔法の話に耳を傾けながら、俺はさっと周りを見渡してみる。お昼休みということで、今の時間は昼食場所のために学校の敷地が一部開放されていた。そのおかげで広いスペースが確保され、のびのびとシートを広げることができる。俺たちが座っている場所は、いつものメンバーとその家族のシートを合体させたためかなり広くなっていた。
母さんたち大人組はお互いに談笑しており、アリシアたちは先ほどのかけっこの話で盛り上がっているようだった。同じ徒競走組の少年Eはマイペースに弁当箱を平らげており、紫の子も弁当箱に詰められたデザート盛を平らげていた。2人ともすごく幸せそうな雰囲気で、黙々と食っている。なので今は会話は無理そう、と判断した俺とクイントとコーラルの3人は駄弁りながらお弁当を食っていた。
「そうだわ、最後の的当てなんだけどあれってどうやったの? 一発で当ててくるなんて思っていなかったわ」
「あー……、いや、あれは……」
『……そういえば、ますたー。僕はますたーのあのフォームに非常に見覚えがあったのですが』
きらきらした目で見てくるクイントと、それとは正反対の雰囲気を感じさせるコーラルの声に、俺は2人から視線を外した。仕方がないだろ。俺は射撃スキルより、投擲スキルの方が経験値が溜まっていたんだから。主に緑の球体のおかげで。
でもそれを素直に言うと絶対に説教が来る。いつもなら口を滑らせてもいいのだが、現在はまだ疲労が残っている。午後の競技までには回復したい俺としては、愛想笑いでなんとか切り抜ける選択を選ぶことにした。なのだが、クイントがこの話に意外にも食いついてきた。
「ねっ、何かコツがあったら教えて! 私、射撃魔法が心もとないのよ」
「そう言われてもな……」
お願い! と手を合わせてくるクイント。もうさ、これ以上強くなる気満々ってこ
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