第三十九話 少年期【22】
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ので、中の会話はこちらに聞こえなかったが、姿は見えたのでノリノリだったのはわかった。クラ校からの恐ろしき快進撃であったが、ベルカの子どもたちは試合を投げずにめちゃくちゃ頑張った。中盤で初等部代表さん……いや、これからはバインド王子と呼ぶべきかな、な廃スペック先輩の動きを全力で止めたベルカの先輩がいたのだ。
そのおかげであの異空間からなんとか解放された。この体育祭でベルカの先輩さんは児童や観客から英雄と崇められた。そして例の3人組も当然有名になった。主に敵に回したくない、という意味で。
最終的に試合としてはクラ校の勝利に終わったが、誰もがどう表現したらよいのかわからない顔だったのは言うまでもなかった。
******
「あぁー、体育祭終わったー!」
「終わったー」
「ふふ、2人ともよく頑張ったわ」
『お疲れ様です』
「にゃー」
俺とアリシアは家に着くと、ボフッとソファに身体を沈めた。そんな俺たちを見ながら、母さん達はお風呂の準備をしてくれている。今日は先にお風呂に入りたい気分なので、お湯が沸くまでおしゃべりしようということになった。
「しかしすごい盛り上がりだったし、人数だったな」
「うん、私もびっくりしちゃった。でも、みんなのお父さんやお母さんに挨拶ができてよかった!」
お昼休みの時に家族一同が集まった時のことだろう。俺も少し話をしたが、やはり親子だと感じるような特徴がわかって面白かった。みんなでそれぞれ父さん似だとか母さん似だとかで議論した気がする。
「メェーちゃんの妹さんもかわいかったね」
「3歳だってな。アリシアも4年前はあんな感じだったぞ」
「え、そうなの?」
年上とばかり付き合ってきた幼少時代。同年代が近くにいなかった俺たちは、同時に年下も近くにいなかった。そのためクラナガンに来るまで、幼少の子と触れ合える機会はそうそうなかったのだ。なので妹としては、小さい子が珍しく映ったのだろう。
「まぁ、メェーちゃんってしっかりしているからお姉ちゃんでも納得だな」
「……うん、そうだよね」
俺の言葉に同意を示すが、どこか寂しそうに笑ったアリシア。俺はそれを不思議に思ったが、結局妹は何でもない、と笑って見せた。1日中身体を動かしたんだし、疲れているのは間違いないだろう。気疲れでもしたのかもしれない。
「アルヴィン、アリシア。お風呂の準備ができたから、入ってきなさい」
「あ、はーい。よし、アリシア。運動会頑張ったんだから、汗をしっかり流そうぜ」
「えへへ、私もお兄ちゃんも汗いっぱいかいたもんね」
俺たちは元気よく立ち上がると、タオルと着替えの服を持って脱衣所へ向かっていった。その時にはアリシアの表情はいつも通りに戻っていたため、大丈夫そうか
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