第三十九話 少年期【22】
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見てました?」
「掴んだ瞬間大声を上げて、ぷにゅをケージに向かってストライクかましていたのは見たが」
完全に見られていた。競技の後で先生に生き物を乱暴にしてはいけません、と注意された。アリシアたちにはなんか慰められた。野球のお兄さんにはナイス投球、とサムズアップされたが。
そんなこんなで1年生の競技が終わったため、児童席に戻る途中でレティ先輩たちと出会った。おそらく最終競技の『魔法合戦』に参加するために移動中だったのだろう。先輩の後ろに高学年の先輩たちが何人も歩いていた。そこに見覚えのある男女の先輩が俺の目に映った。
「あら、もしかしてあなたオリエンテーションの時の…」
「あっ、確かレティ先輩と一緒にいた図書室の先輩」
俺とレティ先輩に向かって歩を進めてきた2人の先輩。レティ先輩の友人さんたちだ。珍しい色の髪だったから半年以上も前だったけど覚えている。もう1人の男の先輩は初等部代表の先輩さんだったので、すぐに顔が一致した。
「3人とも魔法合戦に出場するんですか?」
「もちろんだ。やるからには勝つつもりだ」
ふふん、と自信満々に胸を張るレティ先輩。しかし向こうもなかなかの強敵揃いらしく、先輩たちでも勝利を収められるかはわからない、というのが本音だろう。集団戦で混戦になることが多く、かなり自由度の高い闘いになる。
そんな闘いがもうすぐ始まる。最初に俺に話しかけてきたときは、少し強張っていた顔も今はだいぶ落ち着いているようだ。後輩とのなんでもない会話で緊張が解けてくれたのならよかった。
「へぇ、すごいなー。ちなみに必勝の策とかはあるんですか?」
「必勝というのは難しいな。想定外は起こるものだ。だが、そういうのがあれば面白いかもしれん。一撃必殺とかかっこよさそうだ」
「ですよね、やっぱり必殺技って響きがいいですよね。実際は一撃で相手をノックダウンさせられるものなんて、そうそうないですけど」
「あぁ、まったくだ……いや、待て。あれなら」
軽い調子でお互いに笑い合っていたら、ふと言葉を止めたレティ先輩。なにやら集中しているらしく、そのまま後ろにいた図書室の先輩に小声で話しかけに行ってしまった。なにやら「えっ、魔力変換や変化系の魔法もできないことはないけど」とか「大丈夫だ、お前のアレは間違いなく一撃必殺できる」とか「レティ、後でちょっとお話ししない?」とかよくわからない会話をしている。
さらに図書室の先輩の後は、初等部代表さんのところに行き、こちらも小声で何か言っている。「とりあえず、どんどん相手の動きを止めていってほしい」とか「バインドか? だが複数にだと解かれる危険性が増えるぞ」とか「それじゃあ解かれないような縛り方にしたらよくない?」とか「なるほど。ちょっと端末で縛り方を調べてくる
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