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少女1人>リリカルマジカル
第三十九話 少年期【22】
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ベージュっぽい塊にしか見えないが、たぶん生き物だ。

 あの生き物は中等部の校舎で飼われているらしいから、初等部の児童は体育祭ぐらいでしかあまり目にしないらしい。というより、体育祭で1年分ぐらいの出場率があるようだ。リレーに使われたり、障害物に使われたり。おとなしい生き物じゃなければ、『コード不思議生物 反逆のぷにゅ』を発動しないのが不思議なほどの出番の数だった。

「……なぁ、少年B。さっきからずっとケージから聞こえてくる鳴き声が、めっちゃ響いてくるんだけど」
「うん、そうだね。どうやら名前の由来は鳴き声だったみたい」

 開けられたケージからわらわらと出てくるぷにゅ。コロコロ転がるものもおれば、ぼぉーとしているのもいる。そしてそれらは、全てが「ぷにゅ」と鳴き声を発していた。なんともわかりやすい名づけ理由だった。

「だけどさ、この生物の名付け親は、なんで鳴き声だけをピックアップしたんだ。絶対他にも名づけるポイントがあるだろう。顔とか顔とか顔とか存在とか」
「うん、そうだね。きっと進化体系を間違えたんだよ」
「少年B、お前ちょっと投げやりになっていないか?」

 ぷにゅぷにゅの正体をこの目で見た新入生のほとんどが、少年Bと同じように目が遠くの方を見てしまっていた。いや、俺も衝撃受けたけどさ。あの顔と体型で、渋いアルト声で鳴き声合唱しているし。

 クラスの連中も対戦相手の連中もどう接したらいいか、完全に戸惑っていた。この競技のルールは、グラウンド内に散らばったぷにゅをどちらが多くケージの中へ返せるかを競う競技らしい。……あれに触るのか。この場にいた全員の心が一致した。

「あれって、……Gだよな」
「目つきこえぇよ、じっとこっち見てくるんだけど」
「俺、ちきゅうやであの漫画見たことあるけど、実在したのか」
「ぷにゅぷにゅ鳴いているけど、俺の背中に立つな、とか実は言っているのかな」

 クラスメイト達の戸惑う声。怯えてはいないみたいだが、本気であの生き物の存在感に扱いを困っているようだった。顔だけでも存在感濃いのに、……なんでさらに一頭身なんだ。Gさんの顔がそこら中にコロコロ転がる異空間。足が一応、顔の横から2本生えているんだから歩けよ。それでも不気味だろうけど。

 こいつらには一切攻撃的な思考がなく、ただじっと集団で見つめてくるだけらしい。それ余計怖くね。でも管理世界では、超安全の太鼓判が押されるぐらいの生き物らしい。本当になんでその顔で安全宣言受けているんだよ。ぷにゅぷにゅ鳴いているんだよ。お前ら絶対進化体系間違っているよ。

「ぷにゅぷにゅ、初登場でこれほど場を震撼させるなんて…」
「少年A、あんまり緊張しすぎても仕方がないぞ。安全な生き物ではあるらしいから大丈夫だと―――」
「本当になんて、な
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