第三十九話 少年期【22】
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というか、本当に何をしているんですか野球のお兄さんとそのお仲間らしき方々。あなた方、確か俺の記憶では管理局員ですよね。そっちの方の勧誘はしなくていいんですか。管理局より野球なんですか。
「おや、アルヴィン君じゃないか。こんなところで会えるなんて。そうか、君はこの学校だったんだね」
「はい、お久しぶりです。俺もまさかこんなところで、そしてこんなかたちで出会うとは思っていなかったです」
俺の心からの言葉だった。
「お、リーダー。この子がちきゅうやでお手伝いをしている子かい?」
「そうだよ。そういえば、君はまだ会っていなかったのか」
「お兄さん、本当に突っ切ってしまいましたね…」
周りにいる人たちの中から、黒髪黒目のおじさんが俺と野球のお兄さんの前に現れる。そのおじさんの後ろには10代半ばぐらいの少年がついてきていた。おじさんと同じ色を持っているし、顔立ちもなんだか似ているから、おそらく親子なのだろう。少年と目が合ったのでお互いに会釈をし合った。
なんでもこのおじさんは野球チームの副キャプテンであり、古株さんらしい。前に野球のお兄さんから話だけ聞いていた、地球にご先祖様を持つちきゅうやの常連客さんだったようだ。そう思うと、どことなく東洋系な顔立ちをしているな。
「もしかして、日本人が先祖の方だったりします?」
「よくわかったな。それにしても、リーダーから『野球』という言葉を聞いたときは、まるで引き寄せられるように参加してしまっていたな。先祖が野球と関係でもしていたんだろうか?」
いや、俺に聞かれましても。まぁ、日本人だったのなら野球ぐらいはしていたかもしれないけどさ。そんな風に副キャプさんと話をしていたら、後ろで俺たちを眺めていた少年を前につれてきてくれた。この少年も常連さんだったらしいけど、知らなかったな。店番をしているエイカだったら知っていたのかな。今度聞いてみよう。
「こいつは息子のゲンヤだ。坊やより7つほど年上だが、仲よくしてやってくれ」
「よろしく、アルヴィン君」
「あ、はい。こちらこそよろしくお願いします」
このぐらいの年の人と交友を持てたのは初めてだな。ゲンヤさんは普通科の中学校に通う熱血少年のようだ。ユニフォームが似合いすぎる。野球の浸透力すげぇ、野球のお兄さんの布教力すげぇよ。
そんな一団から離れて数刻経つ。俺はようやく『ぷにゅぷにゅ競争』が行われる会場にたどり着いた。なんか一気にどっと疲れてしまった気がしないでもない。俺は時間までゆっくり座って待機しておくことにした。
入場門で待機していたら、先生方がケージに入れられた何かを運んでいるようだった。それがグラウンドの真ん中に置かれたことから、おそらくあれが『ぷにゅぷにゅ』なのだろう。遠くからだと
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