第三十九話 少年期【22】
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喜びのハイタッチを決める。そしてメリニスがメガーヌの肩に手を置き、2人は無言でうなずき合っていた。あっちも何かしら共鳴し合う何かがあったのだろう。仲よきことは美しきことだな、うん。
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「えーと、俺の次の競技は、例の『ぷにゅぷにゅ競争』か。そして1日目の最終競技『魔法合戦(初等部)』もそれから始まるし、レティ先輩が出るから応援しねぇと」
休憩時間が終わり、午後のプログラムは順調に進んでいった。俺はプログラムを片手にふらふらと競技を見学している。一応自分の次の競技場所に向かいながら覗くだけだが、どこも白熱しているようだ。特に中等部の闘いはレベルが高く、どれも手に汗握るものだった。これはいい勉強になるな。
あっ、そういえば前にレティ先輩から自身を売り込むためのアピールの場でもある、って教えられたな。ならこの観客の中にアピール相手が紛れている可能性があるのか。そう思うと、ちょっと気になる。俺としては興味本位というか、噂の真相が本当なのかを確かめたくなり、耳を澄ませて観客に目を向けながら歩いてみた。
「―――今の学生はどうだ?」
「―――あぁ、なかなかの逸材だな。足腰もしっかりしていそうだ」
人ごみを歩いていたら、ふと聞こえてきた会話にまさかのビンゴだろうかと俺は驚く。先ほどの声が聞こえてきた場所を目指し、少し早足になりながら向かってみた。そこには観客でまだ全貌は見えないが、何人かの集団が集まって競技を眺めているようだった。これはマジで当たりかもしれない。噂は本当だったのか、と少し感動しながらさらに俺は近づいた。
いったいどんな人たちなんだろう。やっぱり管理局員の勧誘なのかな。そんな感じでわくわくしながら、俺はその集団の会話と姿がよくわかる場所へとついにたどり着いた。
「いい脚だな。あれほどの速度があれば、スチールの技術をものにできるかもしれん」
「確かに。だが脚も大切だが、腕も重要だ。あそこにいる彼のしなやかな筋肉を見てみろ。あれなら鍛えあげれば確実に頭角を現すぞ」
「攻撃ばかりでは足元を掬われかねんよ。見な、あの学生はよく周りに目を向けておるし、冷静に間合いを掴む技術もあるようだ。育てれば、いい守りができるだろうよ」
「では、あの3人は後で声をかけておきましょう。あと私としては、あそこにいる学生も気になるんですよね。バランスもよく、思い切りがあるところがいい」
「ふむ、これはなかなかの逸材揃いかもしれないな」
「えぇ、そうです。彼らの様な新星が現れれば、更なる発展を目指せる。そうだ、これなら―――」
「これなら……、最高の野球チームを作れるかもしれん!」
「あんたら一体何の勧誘をしに来たァッ!?」
まさかのユニフォーム集団に俺はツッコまざるを得なかった。
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