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占術師速水丈太郎 白衣の悪魔
5部分:第五章
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の顔を見ていると彼が何を言いたいのかはすぐにわかるものであった。
「私はお金はあまり。ないのですが」
「あら。そうですの」
「何しろ女房と子供を養うのが大変で。いや、これはどうでもいいですよね」
「安心して下さい、そちらは」
 速水はにこやかに笑ってこう述べてきた。
「お金なら私が持っていますので」
「本当ですか」
「私もね」
 沙耶香も名乗り出てきた。どうやら二人はそれなりに金を持っているようである。
「ですから御安心を」
「それでそのお店だけれど」
「はい」
「北海道は美味しいものが一杯あるけれどやっぱり」
 ここで思わせぶりな笑みを浮かべてきた。何かを探るように。
「羊かしら。どうかしら」
「羊ですか」
 速水はその言葉を聞いて目をうっすらと細めさせてきた。
「悪くないですね。そして」
「ワインは赤でね」
「あの、私はその」
 警部は酒と聞いて困った顔をまた見せてきた。
「勤務中ですのでそれはちょっと」
「わかってるわ。それは今はね」
「遠慮させて頂きます」
「そう言って頂けると何よりです。いや、あのですね」
 警部はここで急に申し訳なさそうな声で述べてきた。
「やっぱり五月蝿いですからね、何かと」
「困った話ね」
 沙耶香が警部のその言葉に応えてうっすらと笑みを浮かべる。やはり妖しい雰囲気に満ちた笑みであった。
「お酒と美女があってこその人生だというのに」
「お酒には賛成致しますが」
 速水はここに付け加えてきた。
「貴女には純愛というものを差し上げたいものです」
「あら、それはどんな味かしら」
 しかし沙耶香は妖艶な笑みのままそれに笑って返す。


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