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みなかたパッチン
みなかたパッチン
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会計ね」
彼方は麻奈に向けて左手に持つ、金目鯛
を掲げる。
麻奈「あら、いいおめめね」
彼方「冷凍だからしゃぶしゃぶにしな」
  × × ×
  カウンターで談笑する水元、彼方、木戸。
彼方「そういうちっちゃいやつはどこでもい
  るよ」
木戸「うんうん。うちにもいるよ。ある程度
  のポストにのさばっていばりちらしてる
  奴」
水元「まあさ。前の職場はもっとたちの悪い
  おっさんがいたからはげの坂田なんてか
  わいいもんよ」
木戸「映画作ってる人たちの世界って人を蹴
  落としてなんぼの世界って感じなんでし
  ょ? やっぱり」
水元「蹴落とすというよりきちがいの集合体
だよ。だって遡上する鮭にどこの事務所
だ。カメラに水ぶっかけやがってもう使
わねえぞって言う馬鹿な監督がいるんだ
よ」
  目を動かして何かを探す彼方。
彼方「こんなところにいたか。我が漁協の新
商品。お前ら飲んでないだろ」
水元、木戸はグラスを顔の高さまで持ち
上げる。
彼方「それならいいんだけど」
  アイス昆布茶をぐいっと飲み干す木戸。
木戸「グッテイスト」
  木戸と彼方が水元に視線を注ぐ。
  苦悶の表情を浮かべる木戸。
水元「俺はちびちびのむ派だから」
彼方「おばさん。ウーロンティーちょうだい」
麻奈「あいよ」
水元が彼方を睨みつける。
水元「源のウーロンティー、キャンセル」
彼方「なんでよ」
水元はあのどぶろくを手に取り、カウン
ターのジョッキ群から大ジョッキを選び
手に持った。
彼方「今日はいいよ」
  彼方は数往復顔を横に振る。
水元「そんこと言わないで飲みなさいよ。お 
兄さん。昆布は疲労をやわらげるグルタ
ミン酸入ってるんでしょ?」
水元の手に持つ、ジョッキにはなみなみ
のアイス昆布茶が注がれている。
水元「はい。お待ち」
  ジョッキを彼方に差し出す水元。
彼方「待ってないです」
木戸「あのさ。うしろにピカいるの知ってた」
水元「ピカって中三の時、転向してきたあの 
  ピカ?」
彼方「さっきうしろに行ったじゃん」
  × × ×
  (フラッシュ)
わいわいと騒ぐ四人イス席の隣、二人イ
ス席奥に一人でひっそりと座りノートパ
ソコンに向かうピカこと光春衛(29)
  × × ×
水元「そういえばいたね」
  水元はうしろをチラッと見る。
光春はカンウンターの方に向いていた目
線をパソコンに戻した。
木戸「あいつ。役所辞めてから引きこもりや
  ってたんだけど。メルマガで悟りひらい
ちゃって、月30万稼いでんだって。そ
れに今はメルマガ人気に便乗した教育委
員会のやつらが頼み込んで不登校生徒対
策室長なるものをやってんだっ
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