暁 〜小説投稿サイト〜
とある碧空の暴風族(ストームライダー)
幕間
Trick@03-3_なんで苗字を≪西折≫に変えたのか聞きたいです!
[5/8]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


だけど美鈴は諦めずに抱きしめ続けた。
美雪が正気に戻るまでずっと・・・・・




暴れ続ける美雪を抱きしめ、暴れ疲れて意識を失うまでずっと美鈴は側にいた。

意識を失った後では呼びかけても意味がない。

眠っている今の内に美鈴も食事など休憩をとり、長期戦に挑み続けていた。

そして半月後、ようやく意識はあるが暴れない状態の美雪にまで落ち着いた。

落ち着いたと言っても、いつ暴れ出すか分からない危険な状態。
美鈴は焦らず、何も言わずにずっと美雪の背中をさすり続けた。



「鈴・・・ねぇ・・ちゃん」

「!? ・・・何、雪ちゃん?」

美雪が口を開いたのはさらに半月後のことだった。

その声は1月の間、声を出さずにいたのに枯れた状態。
最初の1ヵ月でどれほど喉を酷使して叫び続けたのか痛いほど感じられた。

正面から抱きしめ、美雪の口が美鈴の耳元にある状態だから聞きとれた、
それほど小さくか細い声だ。

「信乃・・・・本当に死んじゃったの?」

「・・・・・・・・・」

「そうだよね・・・・・・
 私がこんなになっているのに側にいないってことは、そういうことだよね」

「・・・・・・・・ごめんね、私にはこれぐらいしかできなくて」

「信乃・・・・本当に死んじゃったの?」

最初と同じ質問。
現実を理解しても受け入れたくない、そんな気持ちが伝わる。

「ええ。だめ・・みたい」

「そっ・・・か・・・・

 ヒック・・・・・信乃・・・信乃・・・」

信乃が死んでから初めて涙を流した。

錯乱し、暴れ、悲鳴をあげても、涙を流す事が無かった。

この涙は信乃の死を受け止め、そして深い悲しみに出た涙だった。

美雪の背中をさすり、美鈴は静かに言った。

「雪ちゃん・・・・

 信乃の代わりなんてことは絶対に無理だろうけど、
 それでも信乃の代わりに雪ちゃんを守りたいと私は思っている。

 色々な方法を考えたけど、家族みたいに支えるのではなくて
 家族として雪ちゃんを支える方法しか思いつかなかった」

「・・・・・鈴姉ちゃん」

「だから小日向(こひなた)美雪(みゆき)ちゃん、よかったら家の養子にならない?」

それは半年前、美鈴が信乃に対していった言葉であった。

国から見ると、美鈴と美雪は赤の他人である。

いくら助けたいと言っても、法律上では限界があった。

そして何より、家族を失った悲しみを埋める方法は家族を作る方法しか
思いつかなかった。

たとえ信乃との絆に及ばなくても、元々あった美鈴との絆が少し強くなる程度でも、
それでも家族としての絆が美雪には必要だと考えた。

「美雪ちゃん、私の本当の
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ