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ちょっと違うZEROの使い魔の世界で貴族?生活します
本編
第54話 入学準備もトラブル続き 後編
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話と言うのは、私の生い立ちに関わる事で……」
そうしてアニエスは、ダングルテールの一件を話し始めます。しかし、正直に言って、なめて居ました。恐らくアニエス自身は、こう言った話をするのに向いた性格ではないのでしょう。なのに当事者の口から語られる事件は、私の脳裏に生々しく当時の光景を浮かび上がらせます。
自治区とは名ばかりの寒村だったダングルテール。これと言った産業も無く決して裕福とは言えなかったが、そこには確かに人々の笑顔があった。
それが突然、終わりを迎える事になる。
まるで生き物のように、人々を喰らう炎。
それは大切な人達も呑みこみ、決して返してはくれない。
肉が焦げる様な、絶望的な死の臭い。
私には、ほんの僅かに察する事しか出来ません。話をする間も、かたく握りしめられた拳が震えて居ました。
話しはその後の事に移り、どの様な経緯で今に地位に着いたかを簡潔に話してくれました。余りにも簡潔すぎて、如何でも良い事の様に聞こえます。きっとアニエスの心は、未だ炎に包まれたダングルテールに居るのでしょう。
(コルベールと言う存在を知らなければ、直ぐにでも望む物を与えていたでしょうね)
それが私の素直な感想でした。
「目的は復讐ですか?」
私がそう聞くと、彼女は僅かに首を縦に振りました。思わず出かかった溜息を、何とか呑みこみます。
「あなたの復讐は、何処まで行けば止まるのですか?」
「何処まで……とは?」
「実際に村を焼いた者達は殺しますか? それを指示した者達は? それらの身内は? そう言った者達をのさばらせておく貴族達は?」
「何が言いたいのだ?」
アニエスの顔に、苛立ちが混じります。
「そう言った意味では、最も責任があるのは陛下……と言う事になりますね」
私がそう口にすると、その意図をくみ取ったのでしょう。アニエスの顔が怒りに染まりました。
「復讐を諦めろと言うのか?」
「いえ。復讐自体を止める気はありませんよ」
「それならば何故?」
「冷静になれ……と言っているのですよ。ダングルテールの件は、当家も調べたのである程度は知っています。たどる順序はあなたと逆でしたが」
「逆? と言う事は、まさか!? 知っているのか!?」
何を? 等と聞くまでもありません。
「黒幕と作戦に参加した隊の、隊長と副長の名前くらいならね」
私の言葉に、アニエスの顔色が変わりました。
「教えてくれ!! それは「ダメですね」……なっ!?」
言い切る前に否定してあげます。
「冷静になれと言ったでしょう。今のあなたは、そう言った意味で信頼出来ません」
「わ わたしは冷静だ!!」
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