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真・恋姫†無双~現代若人の歩み、佇み~
第三章:蒼天は黄巾を平らげること その2
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合わないんだ。いや、単純に実力不足なのかもしれないけど」
「お前の場合は後者の度合いが強い。これは私見だが、断言できる事だ。お前はもっと様々な事を経験するべきだ。そして仮にも一軍の将ならば、どっしりと構えていろ。それだけで大分肝の据わり方が変わってくる。況や、闘争の心構えをや」
「そして兵達の信頼も厚くなる、か。貴重の意見に心より感謝する、孫堅殿。自分からでは気付いでも、心より実感できない事かもしれなかった。あなたの言葉を切欠として、これからも成長していこう」
「うむ。お前はまだ若い。自分の可能性に気付けることはそれだけで儲けものだ。立派に成長して、守りたいものを守ると良い。それが一番だ」

 言葉少なであったが、重みのある言葉であった。下手に難解な文句を使われるよりも説得力を感じさせて、仁ノ助は確りと頷いてそれを頭の引き出しに仕舞い込んだ。直ぐにでも取り出せるような場所に仕舞ったのがミソである。
 仁ノ助は一つ思案する。思えば孫堅と言葉をこのように交わしたのは初めてであった。で、あるならば、この幸運に浴しても縁起が悪くなる筈もないだろう。

「孫堅殿。こうして会えたのも何かの縁だ。差し出がましいかもしれないが、もし良ければ、あなたの武を見せてもらってもいいだろうか?素振りか・・・あるいは演武という形で」
「ん?演武と来たか。別に構わんが、お前の得物と私の得物は大分違うぞ。参考になるのか?」
「勿論そうなるさ。あなたの方が武に精通しているのだから。だが本音を言ってしまえば、参考になるかどうかは重要じゃない。ただあなたをもっと知りたいだけなんだ。こんな奇特な機会、そう滅多に巡ってくるものじゃ無い。だから目一杯、この幸運を甘受しないといけないかなって、思ってね」
「機を見るに敏な男よ。そのうえ素直ときたか。よかろう、一つ見せてやる故、その大剣を貸してくれぬか?」

 差し出される彼女の腕の逞しさーーー裾の合間からアスリート並みに引き締まった腕が見受けられたーーーに面喰いながら、仁ノ助は己の大剣を渡す。中原のものにしては珍しい両刃のそれをまじまじと見た後、孫堅は軽く上段から振る。ぶおんと空気が切り裂かれて平穏な陣営に似つかわしい音をくり出した。
 孫堅は一度剣を見遣ると、ぎゅっと握り直して演武を披露していく。中原の世間には片刃の剣が主流であるため、ふつう舞いは軸足を中心として円を描くように行われるものだが、仁ノ助の剣はその重たさと異質な刃の広がりから、演武は直線的な動作に終始していた。それでも江東の虎によるためか迫力が凄まじく、突きは虚空に漂う人魂を刺すかのように鋭く、袈裟懸けはまるで虎が爪を振るわんが如きものだ。左・右・左と上段斬りを浴びせ、軸足を中心として身体を回転させてさらに上段斬りを放つ。切っ先は地面に当たる寸前で止まったが、勢
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