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真・恋姫†無双~現代若人の歩み、佇み~
第三章:蒼天は黄巾を平らげること その1
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蘭、秋蘭」

 曹操の言葉に、二人は更に深く頭を下げた。次に跪いたのは荀イクと、少し照れくさそうな曹仁であった。

「華琳様。どうぞ私の智謀をお使いください。あなたが命じるままに、私は全てを欺いて見せましょう。あなたを害する敵は全て廃滅する事を、天地神明に誓ってお約束します」
「曹操様・・・いや、姉さん。俺は旗揚げの時に誓った筈だ。『父に出来なかった事は全部俺がやる』と。だから二度重ねて誓う事は出来ないが、これだけは言える。俺はあなたは裏切らないよ、決して」
「・・・ありがとう、桂花、曹仁」「よせやい、照れるって・・・」

 そう言いながらも忠義を露わとする事に、曹仁は満更でもない様子であった。
 史実通り、三人の武将と一人の軍師は自らを捧げる事を誓った。ではこの世界のイレギュラーたるこの者はどうであろうか。仁ノ助は、何時の間にか隣に立っていた詩花の、『もう決まっているんでしょう』という諭すような笑みを見て、ゆっくりと跪いた。詩花も同じような恰好となりながら、己の所信を述べる。

「何て言ったらいいか分からないけど・・・でももし言うのなら・・・私、皆と一緒にいたい。皆のいつもの雰囲気が好きだし、料理だって美味しい。あっ、食べ過ぎはさすがに良くないけど、でもみなと一緒に愉しめるならどれだけでも食べれた。あんなに美味しい料理はなかったなぁ・・・。だから、一緒にいたい」
「・・・食べる事ばっかりじゃない。あなたらしいというかなんというか・・・でも、ありがとう、詩花。あなたのような人に好かれて、私も幸せ者ね」
「いえいえ、どういたしましてー」
「お前って結構不遜だよなぁ・・・主に向かってその態度はないだろう」
「あんたはどうなのよ、仁ノ助。あんたこそ偉い人間には尊大な性格じゃない。そんな奴がどんな言葉を言うのか、私、気になるなぁ?」
「俺?俺はなぁ・・・」

 逡巡しながら言葉を選んでいると、『早くしろ』といわんばかりに皆が様子を窺ってくるのが気配で分かる。また、曹操も毅然とした態度を崩していないが、どこか不安げに瞳を揺らしているのが分かってしまった。
 自分の至らなさに恥じ入りながら、仁ノ助はもしものために取っておいた最高の言葉を述べた。一気に雰囲気が一新された彼に、皆が驚いたように耳を(そばだ)てて聞き入った。

「華琳様。今、私のもつすべてを、些細なものかもしれませんが、それらを全てあなたに捧げます。その上で誓います。あなたが憎むべき敵を憎み、あなたが守るべきものを守り、あなたが愛すべきものを愛します。あなたと共にこの中原を生きていけるのなら、私はこの上ない喜びを胸に抱けるでしょう。たとえ敵があなたを欺こうと、朝廷があなたと見捨てようと、私はあなたの傍に居続けます。それがこの世界に生きると決めた、私の覚悟の現れなので
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