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真・恋姫†無双~現代若人の歩み、佇み~
第三章:蒼天は黄巾を平らげること その1
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含めたら更に増えるでしょうけど、それでも誤差の範囲内ね」
「そんで、味方が散々に負かされたって事が分かっちまう訳ですか」
「その通りよ。士気が最初から低い敵を打ち砕く。簡単な話。たとえ此方の連合軍が総勢五万前後としても、練度の差が戦術の実行に如実に現れるわ。軽くもんでやればすぐに戦線は崩壊するでしょう」

 彼は納得したように何度か小さく頷いて一歩下がる。策謀を考えたであろう荀イクは最初から疑問など抱いていないようであった。曹操は一度錘琳を見たが、意味の分からぬ難問を突き付けられた学問所の書生のような顔をしているのを、あえて無視せざるを得なかった。

「他には無い?」
「・・・あります」

 最後の発言者は仁ノ助であった。彼は思っていた当然ともいうべき質問を繰り出す。

「なぜ、一度南を制圧してから北の広宗へと向かうのですか?初めから本拠地の方に向かえば賊軍は早い状態で壊滅すると思うのですが」
「それについては私が答えます」「っ、頼みます、荀イク殿」

 曹操の代弁者たる荀イクは、一瞬たじろいだように頬をひくつかせ、すぐに平静を取り戻す。

「・・・態々畏まらなくてもいいわ、気持ち悪いから。それで理由というのは簡単よ。信用ができないの」
「出来ないって何がだよ・・・まさか。皇甫嵩将軍と朱儁将軍の事か?冗談は止めてくれ。あの方々は漢王朝の中でも屈指の勇将だぞ?彼らの戦術を見ていたなら分かる筈。賊軍に後れを取るような人達では無い」
「信用できないのは其方ではないわ。あの方々の腕は私も十分に認めているわ。問題は、『広宗での戦闘が拮抗している』という話の方よ」
「・・・ますます分かりかねる。どういう事だ?」

 中原の鬼才たる軍師の言葉を呑み込めず仁ノ助は首を捻る。もっと周りに気を配っていれば、彼と同じように曹仁や夏候惇が訝しげに眉を顰めているのが分かったであろう。同時に、それまでの顔付とは一変した錘琳の様子も。彼女はいち早く事の本質に気付いたようであり、曹操を鋭く見遣った。

「もしや・・・華琳様は・・・」

 そう呟いた彼女を見て、曹操は満足げに小さく笑みを零す。所作一つをとっても覇王に相応しき堂々たるものであった。

「詩花。あなたの予想は正しいわ。私は広宗での戦闘は拮抗していないと思っている。いや、そもそも本格的な戦闘すらまだ行われていないと思っているわ」
「・・・どういう事です?」
「新参者であるあなた達は知らなくて当然だけれど、私は旗揚げと同時に各地に『草』を派遣しているの。情報がより早く正確に獲得できるようにね。そして先日、その一人が官軍の早馬より早く、私の下に文を届けてきてくれたわ。それにはこう書かれてあった。『広宗の守りは厚く、趨勢に影響及ぼすに至らず。また冀州の袁本初、幽州の公孫讃と接触せ
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