第三章:蒼天は黄巾を平らげること その1
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に頭痛を覚えそうになる。自覚の足りぬ者達を指摘だけでどうしてこうなったのだろうか。何か状況を混沌とさせる要素があったのだろうか。きっと新しい仲間を迎えるために皆が馬鹿を演じているだけなのだろうと、優しき曹操はそう解釈して場が鎮まるのを待った。
やがて主の冷めた視線に気づいて荀イクが慌てたように背筋を正し、それにつられて夏候姉妹、曹仁の順に己を引き締めた。最後まで浮かれていた詩花は、仁ノ助に頭を掴まれて『ぎぎぎ』とアイアンクローをやられて漸く落ち着いた。静寂の中、曹操の特徴である綺麗なツインドリルの髪型は、なぜか疲れたように垂れていた。
「・・・皆が気を取り戻すまでに一分掛かったわ」
(校長先生!)
「・・・まぁそれはいいとして、軍議に入ります。先ずは今後の予定について言っておくわ。これは決定事項だから、心して聞きなさい。
わが軍はこれより豫州平定を第一目標として、皇甫嵩・朱儁両軍と連合して南方にある街、西華に向かいます。かの地には黄巾党の残党がいるけれど、数を集めただけの烏合の衆というのには変わりがない。これを撃破して、豫州を平定すれば我々は天下を得るための大きな前進をする事となる。軍事行動の詳細については後ほど桂花が伝えるわ。
仮にこの時点で叛乱が鎮圧されていない場合、第二目標の遂行に取り掛かります。それは黄巾党の本拠地である広宗を制圧する事よ。つい昨日飛んできた早馬によれば、既に現地付近では袁紹、そして公孫讃の連合軍が賊軍と交戦しているらしいわ。本拠地に篭るだけあって賊軍の数もかなりのもので、攻防は一進一退の様相を呈しているそうよ。消耗戦にもつれ込む前にケリを付ける必要がある。我々は最善の時を見計らって横合いから思い切り殴り付けて、戦場の均衡は一気に官軍へと傾けさせる。その一手で、天下の趨勢は我々のものとなるに違いない。
以上よ、質問は?」
真っ先に手を挙げたのは夏候惇だ。話の途中からうずうずとした様子であり、戦意を抑えきれないとばかりに言葉は熱を帯びていた。
「西華への進軍はどのようにされるのですか?」
「わが軍は先の活躍の功から、官軍の最前線を担当する事になったわ。春蘭、秋蘭。あなた達が先陣を切るのよ。その武を存分に振るいなさい」
「はっ!我が大剣によって、輝かしき武勲を捧げて見せましょうぞ!」
「私も姉者に後れを取る事無く、肩を並べて進撃いたします。どうぞ、その智謀と戦術で、我等を御導き下さい」
曹操軍の二本の柱たる夏候姉妹はかくの如く忠義を露わとし、曹操は鷹揚に頷いた。次に発言したのは曹仁であった。
「なぁ、姉さん」「姉さんはやめなさい、曹仁。あなたは一軍の将なのよ」
「・・・曹操様、敵軍の数はどのくらいですか?」
「西華にいるだけで、恐らく十万程度でしょう。長社から逃げてきた者達を
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