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真・恋姫†無双~現代若人の歩み、佇み~
第三章:蒼天は黄巾を平らげること その1
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な感じだな」
「分かるわ、それ。俺も時折なんの衝動か分からないけど、酒樽ごと一気に煽りたくなるんだ。馬鹿になりたくなるんだよな!」
「そうそう、浮世のくだらないことを忘れてさ。酒を一気にぐびっと仰いで、下着を頭に被ってヘーコラサッサって踊りたくなるんだわ」
「ならねぇよ、あほかお前」「は?なんで素のテンションでそう返すの?」

 両者はそれまでの仲の良さとは反対に急に険悪となり、今にも胸ぐらを掴み合うような恐ろしい顔付となる。互いに対抗するように睨みを飛ばしていたが、二人の顔の間をひゅんと駆け抜けた一矢の矢に驚き、それが飛んできた方向を見遣った。夏候惇を傍に置きながら、冷静沈着なる妹の夏候淵が此方を呆れた様子で見返していた。
 ついで聞こえてくる『さっさと来い、馬鹿共!!』という姉の叫びに、二人は示し合わせたかのように肩を竦め合う。

「・・・姉妹揃って怖いよね」「ほんとほんと」

 名前に『仁』を持つ二人は、手段こそ凶悪であるが心根はとても優しい姉妹に応えるべく、急ぎ足で階段を降りていく。城壁に残された衛兵は人影が消えたのを見計らって、疲れるやら呆れるやらでごっちゃとなった気持ちを溜息にして現した。彼にとっては曹操軍の将軍達は皆共通の評価が下るべきであった。『天下一のお騒がせ集団である』と。



ーーー城内の一室にてーーー



 昼餉から一時間は早い時間帯に、曹操軍の諸将はつつがなくーーー仁ノ助と曹仁は若干遅刻してしまったがーーーその場所に集合した。数人の客人を迎える程度の大きさしかない一室であるが、長居を予定していない彼らの主にとってはそれ以上を望む理由も無ければ、それを欲する欲望も無かった。そこで自らの責任を果たして自らの命令を下せれば充分であったのだ。
 将の何たるかを誰よりも心得ている敬愛すべき主、乱世の奸雄たるべき道を邁進しつつある曹孟徳は、いかにも威厳たっぷりな様子で皆を見詰めていた。話していくにつれて彼女のきつい視線が端に立っている仁ノ助と曹仁に固定された。

「揃ったわね。これより、今後の活動方針についての会議を行います。決して聞き漏らさないように。特にそこの馬鹿二人は!」
「・・・え?俺も入ってんの?」「仁さん、一人だけ抜けようたってそうはいかんぜ。馬鹿二人、『仁』同士、いつまでも仲良くしような」
「あんた達、華琳様の御言葉をちゃんと聞いてるの!?その精子で腐った身体に思いっきり剣を突きさすわよ、夏候惇将軍が!!」『はっ!申し訳ありません!』
「・・・なんで私が悪者にされているんだ」「姉者、何を言っても無駄だと思うから、その落ち込んだ表情を直してほしい。可愛いけれど」
「本当、うちの軍議って混沌としているよねー、アハハハッ!」

 高らかな詩花の声が空々しく響く。曹操は突発した光景
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