第三章:蒼天は黄巾を平らげること その1
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すから。
・・・華琳様。貴方を永久に慕い、愛する事をお誓いします」
『なっ!?』『えっ?』『愛し・・・!?』
皆が動揺する。仁ノ助も動揺する。一瞬訪れかけた沈黙が気まずく思えてしまい、次の瞬間には先の言葉が出てしまっていた。嘘を言ったつもりはない。つい口に出てしまっただけなのだ。・・・心の端ではそのように考えている証左なのだろう。
誓いの客体である曹操の反応は激しかった。言葉を理解すると同時に、威厳や寂しさといったものがぶっ飛び、湯を沸かすやかんのような勢いで顔を真っ赤に染めていた。厳粛な雰囲気の中で言われただけに、その手の直球の愛の言葉がクリティカルヒットしてしまったようだ。いかに英雄とも油断する時はするのだなと思うが、それはそうとして、曹操のたじろぎ方は面白いものがあった。魚のようにぱくぱくと口を動かして、声にならぬ喘ぎを漏らしながらも、必死に解答せんとしている。その可憐さは至極眼福であった。『もうちょい免疫持とうぜ』という突っ込みを入れる気もなくすほど、曹操は可愛いと確信できた。
「えっ・・・あ、あの、その・・・私、こういうの言われた事が無いから、何て返したらいいか分からないけれど・・・宜しくお願い、し・・・きゅぅ」
最後の言葉すら可愛い。仁ノ助がにやにやと頬を緩める中、曹操は恥ずかしさやら何やらで気をやられ、椅子にふんぞり返るように倒れてしまった。途端に喧騒が巻き起こる。
「か、華琳様!!どうかお気を確かに!だ、誰か、救護兵をっ!」
「貴様っ、仁ノ助ぇぇっ!!よくも、あ、あんなこっ恥ずかしい事を言いおったな!聞いててなんか脂汗がしたぞ!!というより、何で私より先に愛の誓いを言うんだ!!」
「あれ、やっぱりそうだった?自分でも途中から『俺変な事言ってるな』って気がしたんだよ。でも途中で止めるのもあれだから、最後まで言っちゃってさ・・・いやぁ、華琳様は本当に可愛いな!」
「ああっ、最高に可愛かった・・・鼻血が漏れそうだったぞ・・・よくやった、仁ノ助!!」
「何を言っているんだ、姉者!追求すべきはそこではないぞ。仁ノ助殿、『言っちゃってさ』ではない!!華琳様にあのような恥を掻かせて何様だと思っているのだ!!」
「でも可愛かったでしょ?」「ああ、もうどうにかなりそうだったな・・・いやそうではない!兎に角今日は我慢ならん!このまま練兵場に連行させてもらう!貴様の腐った性根をみっちり叩きなさねばならんからな・・・。姉者、手伝ってくれ」
「勿論だ!しっかりと教育してやらんとな・・・ふふ、感謝ついでに私の必殺奥義を見舞ってやろう」
ドナドナとばかりに仁ノ助は両手を引っ張られて連行される。荀イクは救護を続けながらも、救護兵に主の不憫な姿を見せるのも忍びないと考えたのか、『うへへ』と何かを零しながら主を寝室に運ん
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