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真・恋姫†無双~現代若人の歩み、佇み~
第三章:蒼天は黄巾を平らげること その1
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穏な統治を実現することとなるが、この世界ではさらなる追討を行うつもりであるらしい。
 これには大きな理由がある。現在の時点で、豫州刺史である王允(おういん)が幕僚らを率いて賊軍を打ち負かしており、それに追われた形となって西華には敵軍が集結している。そしてその敵将、彭脱(きだつ)を討ってしまえば、その時点で豫州には表立った賊軍が全滅する事となり、州の平定が成ってしまうのだ。賊軍の残党は決して少なくは無い数であったが、戦術と天を見誤らなければ現存兵力でも制圧可能な状態であると判断できた。よって曹操は、賊軍討伐と自軍勢力の拡大を狙える同時に狙える、一石二鳥の機会を得て、追討を決断していた。
 西華は長社の南南西にあり、皇甫嵩らの進行ルートと被っている。まだまだ三者の仲は続いていくらしい。

「ふむ、ならば道中までは一緒だな。しばらくよろしく頼むぞ」
「はっ、私にお任せあれ」

 自信満々といった風に若き覇王が朱儁の言葉に頭を垂れた。口元には彼らには見えないように野心の笑みを浮かべており、まさしく乱世の梟雄と評されるにふさわしいものであった。



ーーー長社の城壁の一角にてーーー



「・・・聞いた?」
「何が」
「これから官軍・・・御仲間の奴等なんだけど、南に行くんだってさ」
「へぇー・・・じゃぁ俺等も行くのかなー」
「そうじゃないの?賊軍がまだまだいっぱいいるみたいだから」
「それは大変だなぁ・・・」

 気の抜けた炭酸ジュースのような感じである。弛み切った様子で城壁に寝転がるのは、先の戦いで勲功第一と皇甫嵩より評された仁ノ助であった。死中を掻き分けて敵軍の大将を討った功績は大きく、皇甫嵩自らが彼に褒美として一振りの剣を与えていた。ただ、自らの得物がある仁ノ助にとっては無用な長物でしかなく、今は城の自室に放置されたままであった。アレが陽の光を浴びためにはクレイモアがぽっきりと使い物にならなくなる必要があったが、その傾向も予兆も感じられないのが現実であった。
 彼の隣に座る曹仁は、同じく弛んだ様子であったが、幾分かは仁ノ助よりも引き締まっているようにも見えた。自分より駄目な人間が傍に居れば、何故か自分の方が確りとしていなければならないという義務感が呼び起こされてしまう。彼はそんな不可思議な人間性の犠牲者であったのだ。

「少しはやる気を出そうよ、『勲功第一』さん。お前を遊ばせる余裕は無いんだよ。働いてくれないと俺達も苦労するんだって」
「でもさぁ、曹仁。俺って本当に役に立つのか?文官なみにテキパキと仕事熟せないし、武将というにはあまり武芸には恵まれていないし。今俺がやっている事なんて、兵の練度が仕上がっているか調べて、ついでに街の警邏をするだけだぞ?皆みたいに大した活躍なんてしてないぜ?」
「その『平凡さ』
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