第12話 今度は三人仲良く、だそうですよ?
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言う伝承を残した可能性は少なくない。
それに……。
「べ〜つにぃ」
素直じゃない所なども妙に人間臭くて、好感が持てる。……などと言う事を考えたのはオクビにも出す事はなく、ワザとそう言う口調で答える美月。
そして、更に続けて、
「それで、破壊神さんの事を、アタシは一体、何て呼べば良いのかなぁ?」
再び同じ問いを行う美月。その瞬間に、再び落ちて来た水滴が今度は誰も居ない水面を叩いた。
「あたしの名前ねぇ」
先ほどの美月の笑みに悪意はない、と判断したのか、胸の前で腕を組み少し考える仕草の破壊神の少女……。いや、将来は間違いなく多産系の大地母神と成るべき少女。
そう。鎖骨のラインから続く完璧なそのラインなど見事と言うしかない造形。
どうも、彼女は無意識の内にやって居る行為なのかも知れないが、その胸の前で腕を組むと言う行為が、見た目が同年代に見える以上、同じ女の子として妙な劣等感に似た物を抱かざる得ない状況を作り出して居る。
順番で言うと、破壊神の少女 ⇒ アタシ ⇒ ハクちゃん。この順番かも。
……などと、神様相手に非常に不謹慎な感想を得た美月。
そんな、美月の視線が自らの一点に集中している事に気付きもしない破壊神の少女。
そして、
「そうねぇ。あたしの事はシノブと呼んで頂戴。様も殿もいらないわ。ただのシノブで充分だから」
少し背後の洗い場の方向に視線を送った後に、破壊神の少女はそう答えた。
その行動にどんな意味が有るのかは、今の美月には判らない。それに、今、この少女が口にした名前が本当の名前と言う訳でもない事は間違いない。
何故ならば、本当の名前。真名と言う物をみだりに他人に明かす神格と言う物は存在していないはずですから。
「シノブ……。シノブちゃんか」
少し首を疑問の形で傾げながら、そう呟く美月。
それは、当然、彼女が口にした名前が、その破壊神の少女から一番遠い意味の言葉のような気がしたから。
但し、そんな美月の訝しげな雰囲気など、彼女に取っては関係ない事。
湯船の中から見える、明かり取り用の窓が切り取った小さな夜空の絵にも飽きた彼女が、ぐるりと身体を回してうつ伏せの形に成り、最初に美月がやって居た姿勢。浴槽の縁に手の平と顎を乗せた。
何と言うか、そんな恰好をすると、箱の中の子猫がその箱の縁からちょこんと顔を出して外を見つめて居るような雰囲気を感じさせるので、非常に愛らしいと言えば愛らしいのかも知れない。
何故ならば、今の彼女の瞳は獲物……。オモチャを見つけた子猫の瞳。この目の前に居るネズミでどうやって遊んでやろうか、と考える子猫の瞳でしたから。
そうして、
「ちょっと、あんた。何をもたもたとしているのよ
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