暁 〜小説投稿サイト〜
私は何処から来て、何処に向かうのでしょうか?
第12話 今度は三人仲良く、だそうですよ?
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女の姿を、浴槽の縁に手の平と顎を乗せた状態でぼんやりと見つめている美月。ただ、彼女の手際の悪さに、一昨日のように手伝って上げた方が良いのかな、などと考え始めた時……。

「結構、広いお風呂じゃないの」

 良く通る声が壁に、そして床。浴槽に張られたお湯に反射され、再び自らに返って来た声の意外な大きさに形の良い眉根を寄せる破壊神の少女。
 但し……。

「何で、アンタまで当たり前のような顔をして、あたしの村にまで着いて来ているのよ?」

 半分不機嫌。半分あきらめにも似た表情を浮かべながら、そう尋ねる美月。

 そう。森の龍脈を置き換え、死の森から、生命溢れる本来の北の森の姿を取り戻した後に、リューヴェルトとの別れの挨拶。
 その後に、当然のように自らがリーダーを務めるコミュニティに戻って来たのですが……。

 何故か、その一同の中に当たり前のような顔をしてついて来た少女が一人。

「だって、アンタたちに着いて来た方が面白そうじゃない」

 ざぶんっと言う非常にガサツな音を立てて美月の隣に入り、少し勢いを殺しながらも、その場に腰を下ろす。
 そして、そのまま両手両足を伸ばし、

「うーん。ちゃんとお風呂に入るのは、一体、何時以来に成るのか判らないぐらい久しぶりの事よね」

 どうにも、美少女らしくない台詞を口にする。
 但し、見た目は美少女。しかし、中身は破壊神にして創造神。表面上は人間に見えたとしても、人間の常識で当てはめて考えるのは間違い。
 まして彼女は、今日の昼間に目を覚ますまで眠り続けて居たのです。

 伝説に成るほどの遙か昔から……。

「それなら、名前ぐらい教えてくれても良いんじゃないの。何時までも名無しじゃ問題有るし」

 そう問い掛けながら、その破壊神の少女と同じように仰向けに成って僅かに天井に視線を送る。
 其処に存在して居たのは……。

 その瞬間、湯気となって天井まで昇った水が冷やされ、再び水滴と成って湯船の中に戻って来た。

「冷たッ!」

 まるで輪廻転生を続ける魂の如き、永遠に等しい繰り返しを続ける浴室内の水が、美月の隣に並んで座る破壊神の少女の首筋に弾けた。
 その様子。水滴が落ちて来て、破壊神の少女の首筋で弾けるまでの一部始終を見届けた美月に、思わず笑みが零れる。

 そう。伝説に語られ、妖樹に傅かれ、何もない空間から魔法の弓を取り出すような真似が出来ても、普通の人のように首筋に天井からの雫が当たれば冷たく感じる。
 そんな当たり前の反応が、何故か美月には嬉しかったのだ。

「何よ?」

 しかし、そんな美月の表情が気に入らなかったのか、少しキツイ瞳で、自らの事を睨み付ける破壊神の少女。こう言う所や、かなりの唯我独尊的な性格が、破壊神と
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