第12話 今度は三人仲良く、だそうですよ?
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。かつての彼が支配した国の民。しかし、現実にはすべて死に絶えた人々の失われた生命を復活させるのと、現在、この世界で生きて暮らしている人々の未来との両天秤。こんなどちらを取っても後悔しか残らないような選択肢しか用意しない存在に、悪意以外が存在しているとは思えない。
ただ、先ほどもそうで有ったように、彼からは一切、リューヴェルトに対する敵意のような物を感じないのも事実。故に、敵と断ずるには少し足りないと言う事。
「何をしに戻って来たのです?」
即座に臨戦態勢を整えるような真似などせずに、落ち着いた雰囲気でそう尋ねるリューヴェルト。但し、ウカツにこの青年の支配する領域に入るような事もなく、更に今回はシルフリードが傍に居る以上、余程の事がない限り相手の術中に堕ちる事も考えられない。
まして、この目前の青年に関しては、この森に棲む生命体とは言えないような気配。万が一に戦ったとしてもギフトゲームの勝利条件に抵触する可能性は低い。
「何故、先ほどの僕の誘いに乗らなかったのか、少しお話を聞いてみたいと思いましたから」
相変わらず、ニヤニヤ嗤いを浮かべた状態ながらも、矢張り、敵意を発する事はなく、そう話し掛けて来るバンダナの青年。
果たして本気で問い掛けて来ているのか、それとも、何かの罠なのか判らない雰囲気。
しかし、
「未来を奪われた者たちに再び未来を与える為に、その他の関係のない人々の未来を奪う訳には行きません」
思ったままを口にするリューヴェルト。
確かに、過去に帰ってその未来が訪れない形で過去を改善したとして、それが、自らが護る事が出来なかった民たちに対する贖罪と成る訳ではない。
まして、そんな事をすると、あの時に自らが感じた物や、流した涙がすべて偽りの物と成るような気がしたから。
そう、リューヴェルトは続けた。
目の前の青年が発して居るような、穏やかな雰囲気で。
そうして、
「あなたの方こそ、一体、何の目的が有って、こんな事を為しているのですか?」
逆に青年に対して問い返すリューヴェルト。
その瞬間、本当に楽しそうに青年が嗤う。くつくつと声を上げて。
「僕は、僕に与えられた役割を演じて居るだけですよ。其処に本当の意味での目的など存在しません」
僕は所詮下ッ端。使い走りに過ぎないのですから。
青年は、くつくつと嗤いながらそう答える。その嗤いの中に自嘲と言う雰囲気を内包しながら。
信用は出来ない。しかし、だからと言ってリューヴェルトに対して嘘を言う理由も思い当たらない。
「それなら、今回、わたし達の行い。このギフトゲームの邪魔をしたのは、貴方に命令を下して居る存在からの命令で動いて居ると言う事なのですか?」
どうやら、こ
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