第12話 今度は三人仲良く、だそうですよ?
[1/9]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
先ほどまで神々しいまでの霊気を放っていた自らの妻。シルフリードの傍らに立つリューヴェルト。
流石に今まで生きて来た中で、龍脈の置き換えなどと言う特殊な術式を目にした事は無かった以上、今回の企てに対して最初は少しの疑問を感じて居た彼だったのですが……。
しかし、シルフリードを召喚した瞬間に発生した、この大地全体から湧き上がるかのような龍の気に因って周囲の森。最初にこの龍穴に踏み込んだ時に感じた生命力に満ち溢れた雰囲気が周囲に広がって行くのを感じたのでした。
その時の勢いから推測すると、おそらく、この死の森と呼ばれている森すべてに広がって行き、そのまま森自体の雰囲気を、生命力に溢れたこの森が本来持って居た雰囲気に上書きして行ったと考えても問題ない、と思われる。
そう考えながら、龍穴の中心に立つ自らの妻から、森の奥。そして、木々の切れ間から徐々に明るさ……闇から濃紺、そして、黎明、払暁と呼ばれる色合いへと移り変わりつつ有る蒼穹へと視線を移すリューヴェルト。
そして、誰に見せるでもなく、軽く首肯いて見せる。
そう。これで、今回のこのギフトゲームは終了したと言う事ですから。少なくとも、今、自らの周りを取り囲む雰囲気は、最初にこの森から感じて居た死を連想させる雰囲気からは遠い物に変質して居ます。
後は、自然の導くままに。人と大自然の境界線に位置する当たり前の。しかし、その周囲に住む人々に恵みや憩を与える、当たり前の『里山』としての機能を有する森へと変わって行く事に成るのでしょう。
「流石に彼女の暮らして居た時代の日の国の巫女ですね。色々と特殊な術式を御存じです」
蒼穹から森の奥へと視線を移し、其処から再び、視線を戻した緑の天蓋に覆われた通路の下には、先ほど間違いなくリューヴェルトが両断したはずのバンダナで額を隠した状態の青年が、彼に相応しい東洋的笑みを浮かべた状態で立って居た。
まったくの無傷。最初に顕われた時のままの状態で……。
「彼女の施した術式は、古代の東洋では当たり前に行われて居た術式。それでも、周到な準備の元に為した訳でもなく、殆んど初見に等しい術者の霊気を纏めたのは、流石に三娘さまと言うべきでしょうか」
彼……バンダナの青年が発するのは微妙な気。敵と断ずるには何かが足りない。しかし、味方かと言うと、悪意が少し強すぎる。
「いや、もしかすると、彼女が手を貸したのかも知れませんか」
そんな、リューヴェルトの考えを知ってか、知らずか。独り言を呟きながら、何処か遠い方向に視線を向けるバンダナの青年。
その彼が発するイメージも、矢張り戸惑いを誘うような、正体不明の存在としか認識出来ない相手。
そう。先ほどのリューヴェルトに囁いた内容は、リューヴェルトに取っては、この様な場面
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ