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銀河英雄伝説〜悪夢編
第二十二話 俺にも矜持という物が有る
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国騎士ではフレーゲル、シャイドと同列になるか……、騒ぎ立てるのは必定だな。

「それより宇宙艦隊は大丈夫なのか? イゼルローン要塞が無くなった今、帝国領内での戦いは必至じゃが艦隊の半分以上は司令官が決まっていないと聞いているが」
国務尚書が心配そうな表情で私達を交互に見た。シュタインホフ元帥と顔を見合わせた。彼が頷くと国務尚書に視線を戻し問いに答えた。

「まあ今回の昇進で最低でも二人は艦隊司令官にするでしょう。そうなれば九個艦隊は動員可能です」
「ふむ、九個艦隊か……、大丈夫か、平民と下級貴族ばかりだが……」
「実力本位で選んだと言っておりますな」
シュタインホフ元帥の答えに国務尚書がまた顔を顰めた。

「貴族には使える者はおらんのか」
「まあ、そう判断されても仕方のない所は有ります」
“役に立たぬの”と国務尚書が吐き捨てた。実際、役に立たぬのが多い。筆頭はグリンメルスハウゼンだ。

「あの若者、妙な事は考えておるまいな?」
「と言いますと?」
「軍の力を使って帝国の実権を握ろうとか……」
またシュタインホフ元帥と顔を見合わせた。今度は私が頷く。

「大丈夫だと思います。確かに貴族嫌いではありますがあれはどちらかと言えば生真面目な男でしょう、政治的な事には関わろうとしません。と言うより政治や貴族が軍に介入する事を酷く嫌っております。グリンメルスハウゼンの件では随分と苦労しておりますからな。その所為で少々危険視されるのでしょう」
「なら良いが……」

「反乱軍はいずれ攻め寄せて来る事は間違いありません。これからは帝国領内での戦いになるのです、負ける事は許されません」
「軍務尚書の言う通りです、その時にはヴァレンシュタインの力がどうしても必要です」
「分かっている、あれが勝てる男だということはな」
国務尚書が溜息を吐いた。少し話を変えるか。

「最近は如何ですかな、宮中の様子は」
私が問い掛けるとリヒテンラーデ侯が面白くなさそうにジロリとこちらを見た。
「グリューネワルト伯爵夫人を責める声が大きいわ」
意味深な言葉だ、シュタインホフ元帥に視線を向けた。彼は眉を寄せている。

「伯爵夫人に罪は無い、しかしベーネミュンデ侯爵夫人は死んでいるからの、これ以上は責めようがない。となれば必然的に非難は彼女に向かおう」
「……」
あの馬鹿げた騒動の所為で軍の重鎮が負傷しイゼルローン要塞が陥落した。本来なら侯爵夫人を何時までも放置した皇帝こそが責められるべきだろう。だがそれを言う事は出来ない、国務尚書の言う通り必然的に非難は伯爵夫人に向かう。強力な後ろ盾を持たぬ以上、非難を受けやすいという事も有る。

「宮中にも居辛かろう」
「では?」
「そうじゃの、陛下にも多少は責めを負うて貰わなければ……、これ
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