崑崙の章
第21話 「ほらよ……涙拭けって」
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への贈り物を探してるんだな!」
…………………………
なるほど。
ここは市場だった。
真面目に裏を考えようとした、俺が馬鹿だった。
「そんなやつにはずばり! この宝石だ! どうだい、見てくれよ、この輝き! そんじょそこらのクズ石とはわけが違う! 正真正銘の青金石だ!」
……へえ。
こいつはラピス・ラズリじゃないか。
日本じゃ『瑠璃』ともいうし、青の顔料にもできるんだよな。
見ると、大小様々な磨かれた石が置いてある。
なるほど……土産物としてはいいかもしれない。
「どうだい、可愛いあの子にこの深い青! きっと相手も見惚れて、たまらず抱きついてくること請け合いだぜ!」
……まあ、この時代だしなぁ。
個人的には、アクアマリンのような透明度のある青の方が好きなんだけど。
「……ちなみに、いくらだい?」
「おお! 兄ちゃんになら格安で売ってやるぜ! そうだな……この大きさなら本来二千銭もらうんだが、一千五百でどうだ!」
そう言って見せる大きさは……三センチ程度の小石だった。
うーん……正直、これの相場がわからないんだよなぁ。
とはいえ……千五百か。
残りの金は四千前後だし、買えないことはないんだが……少し交渉するか?
せっかくだし、朱里や雛里にお土産としてでも……
「おい、あんた! ぼったくるのはやめろよ」
唐突に横から声がする。
見れば、別の屋台の若い男だった。
「さっきの客には同じ大きさで六百だったじゃないか! そんな詐欺まがいの商売はするな!」
「な、なんだ、お前! いきなり出てきて商売の邪魔する気か!?」
男の言葉に、店の親父が激昂する。
「当たり前だ! ここを何処だと思っている! 劉玄徳様が治める漢中だぞ! そんな信用を失くすような商売の仕方をされたら、皆が困るんだよ!」
「な、何を言っていやがる! こんなの、何処の誰だってやっていることじゃねぇか! てめえなんぞに言われる筋合いはねぇ!」
「「「おおありだ!」」」
うおっと!?
突然、別方向からも声が上がる。
周辺で店を構えていた屋台の人々だった。
「お前、本当に許可受けたのか!? ここで商売するための許可証に、原則として値札をつけることが明記されているはずだぞ!」
「そうだ! ここは他の土地とは違うんだ! 商売するもされるも同じ人間! 不平等・不正な行為は厳しく取り締まるって、店を出す前に再三言われるはずだ!」
「あんた、昨日までいなかった人だね。そこは昨日まで別の商人が骨董品を売っていたはず……だれか! ここの担当の警官呼んできな!」
周囲の屋台の商売人たちが、こぞって親父を囲む。
「な、なんだよ……お、俺
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