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DQ4TS 導く光の物語(旧題:混沌に導かれし者たち) 五章
五章 導く光の物語
5-39水の都で
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んだそりゃ」
「まあ、見ておれ」

 ブライとクリフトが進み出て、構えを取る。
 魔法の発動する気配に、魔法の心得のある衛兵が一瞬緊張するも、放たれたのは攻撃的なものでは無く。

 色とりどりの光が飛び交い、渦を巻き、幻想的な光景を作り出す。
 光が残す残像が、ひとつの風景画のようなものを一瞬浮かび上がらせ、瞬く間に消えていく。

 いくつもの映像があらわれては消え、そして完全に、消える。

「……きれい」

 少女が呟き、他の者は溜め息を吐く。

「ふむ。なかなか、上手くいったの」
「久し振りでしたから、どうかと思いましたが。良かったですわ」

 ふたりの言葉に国王が我に返り、激しく拍手する。

「素晴らしい!なんと、素晴らしい魔法であることか!……だが、笑えはせぬ!!」
「ですよね」
「じゃろうの」

 クリフトとブライも、あっさり引き下がる。

「元々、笑いを取るようなものでは無いからの。致し方あるまい」
「笑いというのは、難しいものですね。どうすればいいのでしょう」
「皆さん、素晴らしい芸をお持ちですな。私はこれといって、そういったものの持ち合わせは無いのですが」
「ライアンの剣技なら、十分に芸の域に入るだろう。披露してみないか?俺が、ひたすら避けるから。ユウも一緒に」
「私とライアンで、アリーナに攻撃するの?大丈夫?」
「避けるだけなら、問題無い。反撃して勝とうとしなければ」

 アリーナ、ライアン、少女が進み出て、許可を得てライアンと少女が抜刀する。

「参ります」
「じゃあ、行くね」

 宣言とともにライアンと少女がアリーナに向かって距離を詰め、それぞれ剣を振るう。

 アリーナはひらりひらりと舞うように、しかし装飾の一切無い最短の動きで攻撃を躱し、合わせて踊るようにライアンと少女が剣戟を振るう。

 洗練された武技は噛み合って美しい舞のようになり、マーニャのそれのような繊細さは無いながらも、一歩間違えば命を落とす緊張感も相俟(あいま)って、猛々しい迫力となる。

 最後に、ライアンと少女が同時に一旦距離を取り、息を合わせて全力の攻撃を仕掛け、アリーナが大きく跳んで回避し、身を捻って綺麗に着地する。
 ライアンと少女が武器を合わせる音が、終了の時を告げる。

 汗ひとつかかずに武器を収め、三人が礼を取る。

 ぽかんと口を開けて見守っていた国王が、またも我に返り、熱狂的に拍手を贈る。

「素晴らしい!なんと素晴らしい、武技であることか!これならば、或いは……いや!約束は、約束じゃ!笑えはせぬ以上、褒美は、やれぬ!!」

 三人は黙って引き下がる。

「……いずれも、素晴らしい(わざ)であったが。……出直して、参れ!!」




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