第一部
第四章 〜魏郡太守篇〜
四十六 〜父娘〜
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は、稟の手を握り返す。
「歳三様……」
「良いな?」
「……はい」
稟は、そっと眼を閉じた。
一月後。
月が、ギョウへと姿を見せた。
無論、詠を始め、皆が付き従っている。
あまり大仰にしては、どのように揚げ足を取られるかわからぬ故、入城は夜半、密かに行わせた。
引き連れた兵を宿舎に向かわせた後、主立った者が皆、謁見の間に集まった。
「お父様。お久しぶりです」
「うむ。壮健で何よりだ」
「はい」
可憐な微笑みは変わらぬが、どこか翳りが感じられる。
やはり、これからの事で不安を抱いているのか。
「詠、霞、恋、閃嘩、ねね。皆も、よく月を支えてくれた。私からも、礼を申すぞ」
「ボクは、月の為なら何だってする。それだけよ」
「せやな。ウチも、月か歳っち以外のトコにいるつもりはあらへんよ」
「……恋は、月も歳三も好き。みんな、家族」
「私は、月様の親衛隊長。当然の務めだ」
「恋殿あるところに、ねねは常にありますぞ!」
各々が口にする言葉は、相も変わらぬ。
結束が微塵も崩れぬのは、流石は月というべきであろうな。
彩(張コウ)や愛里(徐庶)らも名乗りを上げ、互いの主が預かっているなら、と真名を交換。
……改めて、壮観な顔触れが揃ったな。
「少し遅いが、再会を祝して宴と致そう。愛里、準備は良いか?」
「はい!」
「星。あれの用意も出来ているな?」
「愚問でござるよ、主。霞、お主も楽しみにしているが良い」
「おっ、何や何や?」
「……お腹空いた」
「恋は相変わらずなのだ」
賑やかな宴になる事、請け合いだな。
愛里心づくしの料理に、酒もふんだんに用意させたのだが。
……女子ばかりなのだが、この減りようは何の冗談か、とも思いたくなる。
特に、酒の減り具合が尋常ではない。
「かぁーっ! 歳っち、何やのこの酒?」
その犯人の一人は、ひどく上機嫌だ。
「気に入ったようだな、霞」
「あったり前や。こないな酒、ウチよう知らへんで?」
「それはそうだろう。我が主直伝の、異国の酒だからな」
犯人のもう一人は、秘蔵中の秘蔵というメンマを山積みにして、こちらもご満悦だ。
「殿は本当に博識だ。このような酒、確かに初めてだ」
「一度いただいた時よりも、更に美味になっていますね。蘇双なる者、相当に研鑽を積んだようですね」
彩と疾風も、負けじと杯を傾けている。
「月様。もう一献」
「へう〜。でも、美味しいからいただきますね」
「ちょっと、閃嘩。アンタ、月に飲ませ過ぎじゃないの?」
「いや、月様には今宵、思う存分過ごしていただく。詠と言えども、邪魔はさせん」
……まぁ、私が口を挟む世界ではないようだな。
「ささ、ご主人様も」
「愛紗。私があまり
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