第五章
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誰もがこの距離に驚く、アクリシオスもそれを観て思わず声を挙げた。
「何と、これは」
「凄いものだな」
「ああ、これだけのものは観たことがない」
こうテウタミデースにも言う。
「凄いものだ」
「人の力には思えない」
アクリシオスはこうも言った。
「全くな」
「人ではないか」
「神か、若しくは」
アクリシオスは円盤、競技場すら超えたそれを観つつ言う。
「神と人の子か」
「そうした者か」
「その力か」
ここでペルセウスのことを思い出した、だが。
それは一瞬だった、そのことを思った瞬間に。
不意に風がそれもかなり強いものが吹いた、円盤はその風に乗って貴賓席の方に飛んだ。
そのままアクリシオスの方に向かい彼の頭を直撃した、ペルセウスも誰もがこの事態に驚愕の声を挙げた。
「た、大変だ!」
「人に当たったぞ!」
「貴賓席だ!」
「王よ、ご無事ですか!」
「人が倒れているぞ!」
大騒ぎになり貴賓席に近衛の兵達や重臣達が殺到する、そしてだった。
アクリシオスは宮廷の病室に担ぎ込まれた、そこにはペルセウスもいた。
彼は頭を打ち今にも死のうとしているアクリシオスに深々と頭を下げ謝罪した。
「申し訳ありません」
「いい、まさかあそこであれだけの風が吹くことの方がおかしい」
アクシシオスもその風を感じた、それで彼の不始末ではないというのだ。
だがだ、ここで彼は言うのだった。
「ところでだが」
「ところでとは」
「君は誰だ、先程から素晴らしい成績を残していたが」
「私の名前ですか」
「そうだ、君は誰だ」
「ペルセウスです」
彼はここでアクリシオスに名乗った。
「エチオピアのペルセウスです」
「そうか、やはりな」
その名を聞いてだ、アクリシオスは驚かなかった。死の床において達観した声で頷いただけだった。
「そうだろうな」
「そうだろうとは」
「私はアルゴスの王アクリシオスだ」
自分の顔を覗き込むペルセウスを見ての言葉だ。
「つまり君の祖父だ」
「まさか、こんなところで」
「私はずっと君から逃げていたのだ」
「私からとは」
「予言で言われていた、私は君に殺されるとな」
ペルセウスのその顔を見ながら語る。
「そう言われていたのだ」
「まさか・・・・・・」
「そしてそうなったな」
達観したままの言葉だった、顔も同じだ。
「私は君に殺された」
「お祖父様、私は・・・・・・」
ペルセウスは涙を落としそうになる、しかしアクリシオスはその彼にこう言った。
「悲しむことはない」
「ですが私はお祖父様を」
「私はかつて君を君の母と共に海に流した」
予言を恐るあまりそうしたというのだ。
「その私に対して悲しむ必要はない。それに」
「それにとは
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