第二章
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アクリシオスは周りの者達にこう言ったのだった。
「ダナエーと孫、ペルセウスを流せ」
「何処か遠くの国にですか」
「そうされますか」
「殺せぬ、しかし殺されはせぬ」
だからだというのだ。
「二人は箱に乗せて何処か遠くに流せ、ゼウス神の加護で死ぬことはない」
「そうされますか」
「孫をここに置く訳にはいかぬ」
これは絶対だった、彼にとって。
それで心から怯える目でだ、家臣達に言ったのである。
「異国に流せ、このアルゴスに辿り着くことが出来ない場所にな」
「わかりました」
こうしてだった、ペルセウスは母のダナエーと共に異国に流されたのだった。彼はその地で成長しやがてアテナやヘルメスの力を借りてメデューサや海の怪物を倒し英雄となっていた。そのことはアクリシオスの耳にも入っていた。
だが彼はこのことには安心している顔でこう言った。
「このアルゴスから遠い」
「アルゴスに来ることはないというのですね」
「あの方が」
「そうだ、ない」
安心している顔での言葉だ。
「だから気に病むことはない」
「ですが英雄となられていますが」
家臣の一人が王に問うてきた。
「それでもですか」
「死なないことはわかっている」
ゼウスの子だ、それで容易に死ぬ筈がなかった。彼もそれはわかっているのだ。
「しかしだ」
「それでもですね」
「遠くにおられるからこそ」
「案ずることはない、若しアルゴスの近くに来てもだ」
それでもだというのだ。
「私は身を隠す」
「そうされますか」
「一時このアルゴスを去ってだ」
そしてだというのだ。
「ラーリッサに身を隠す」
「あの国にですか」
「あの地の王は私の知己、助けてくれる」
だからだというのだ。
「あの地に身を隠す」
「ペルセウス様が来られても」
「そうする、若しもの時はな」
こう言って彼は万が一の時にも備えていた、そして。
ペルセウスが実際にアルゴスに来た、理由は復讐ではなく純粋に祖父と再会する為だった。彼は祖父の気持ちも理解して許していたのだ。
だがそのアルゴスに来てもだった。
「王は今この国にはおられません」
「貴方に会うことは出来ません」
ペガサスに乗って来て名乗ってもだった、国の誰もがこう言うのだった。
「ですからお帰り下さい」
「王はおられないので」
「私はお祖父様に会いに来ただけだが」
ペルセウスはその彼等に困った顔で言った。
「だから武器も持って来ていない」
メデューサの首を切ったヘルパーも持っていない、そのメデューサの首も空を飛ぶ靴も姿を消せる兜mだ。
どれも持っていない、ペガサスが共にいるだけだ。
「お祖父様には何もしないのだ、約束する」
「ですが王がおられないのです」
「今このアルゴス
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