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蜘蛛女
第五章
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「内密にしますか」
「隠しておきますか」
「吉原、江戸に化物がいたなぞと言っては大騒ぎになる」
 このことを恐れての判断だった。
「それ故にな」
「でjは公には伏して」
「この件は収めますか」
「骨は葬ってやれ」
 このことは忘れなかった、遠山も。
「家族にはそれぞれ理由をつけて火葬にしたと返しておくか」
「その理由は」
「辻斬りにでもしておけ」
 真相を考えると無理があるがそういうことにするというのだ。
「それにやられたとな」
「夜の吉原で、ですか」
「その様に」
「辻斬りの下手人は成敗され死ぬ間際に川に落ちた」
 それで骸はなくなったというのだ。
「随分と巧妙に辻斬りを働いたがな」
「その様に話を収めますか」
「表向きは」
「そうする、ではよいな」
「はい、わかりました」
「では表ではそうしておきます」
 与力達も遠山に応えた、それでこの蜘蛛の話は辻斬りということで収められた。
 このことは長い間辻斬りということになっていたが先日幕府の裏の記録であったことが判明している。幕府の裏の記録にはこうした話が実に多いがこのこともそのうちの一つだ、南町奉行だった遠山は今も人気があるがその彼にまつわる話の一つとして興味深いものに思えたのでここに書き残しておくものとする。


蜘蛛女   完


                              2013・3・28
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