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IS 〜インフィニット・ストラトス〜 日常を奪い去られた少年
第11話
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アリーナ内は騒然としていた。ラウラのISが変形したことによって、状況が一切分からない物を相手にするという教師の底知れぬ恐怖感。観客席の生徒は突然シャッターを閉められ、非常灯に変わったせいで暗くなり、しかもアリーナから出るのが難しい。そのせいで閉じ込められ、ストレスにより混乱する生徒もいた。

だが、そんな中、一夏だけはラウラに対して怒りを抱いていた。ラウラのISが粘土のようにグニャグニャと変形し、変わった姿は、第一回モンドグロッソ出場時の千冬のIS『暮桜』そのものだったのだ。その姿は千冬だけの物だ。お前がしていい姿ではないと。

だが、それと同時に疑問を抱いた。何故だか分からないが、ラウラが助けを求めているように見えるのだ。『助けてくれ……ここは寒くて寂しくて……悲しい……助けてくれ……』と。確証はないが、それがラウラの心の声だと言う自信があった。それさえ分かれば、一夏はラウラを助けるだけだ。一夏が一歩前に出る。

「一夏!?何してるの!危ないよ!」

そういったのはシャルルだった。だが、一夏はシャルルに言った。

「あいつは助けを求めてる。だから、あいつ……ラウラを助けてくるだけだよ」

そう言う一夏の表情は自信に満ちていた。俺なら出来ると。俺しかできないと。それが分かると、シャルルは何も言わない。いや、言えなくなった。

「……分かったよ。でも、約束だよ。絶対、助けて戻ってきてね」

「分かった」

一夏はISを展開して、ラウラの前に行った。周りの教師は何事かと思ったが、状況が状況だけに手が出せない。

「ラウラ……お前は何のために戦ってるんだ?」

一夏は問いかける。だが、何も返答はない。

「ラウラ……お前は凄いな。尊敬するよ。ただ、千冬姉だけを追い求めて、それだけ強くなれるなんて」

「……ケテ」

何か微かだが声が聞こえた。

「タスケテ……」

「……ああ、分かったよ。今助けてやる」

一夏は雪片をコールして、ラウラと対峙する。すると、ラウラも構える。先に仕掛けたのは、ラウラだった。剣を振り下ろし、一夏を狙う。一夏はそれをスッと横に移動し、剣を切り上げた。ラウラの周りに付いているゼリー状のものだけを切る。すると、中からラウラが出てくる。それを一夏は抱き止める。

遠くから、シャルルはその様子をみて安心していた。

……良かった。二人共問題なさそう。……けど、俊吾が来なかったな。こういう時はいち早く駆けつけそうな気がするのに……。何かあったのかな。

そう思い、俊吾を心配するシャルル。だが、その後ろに影が迫っていることに気付かなかった。

◇   ◆   ◇   ◆

同時刻、俊吾は配置の西の森に着いていた。森の様子を目で見るが、特に問題はなさそうである。だが
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