ターン27 女戦士と宝石騎士
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「ん………よし、そろそろかな」
まだ日も昇っておらず、ちょっと東の空が白んで見えるくらいの時間に僕は、レッド寮を出た。夕べ新しいことに手を出してみたのだが、その成果が知りたくなったのだ。
『ふわぁ……なんだお前、もう行くのか?』
「あ、起こしちゃった?ごめんごめん、まだ寝てていーよ」
ふわふわとユーノが飛んできて僕の半歩後ろにつく。さらにシャーク・サッカーも僕の右隣をゆったりと泳ぎだす。ふーむ、なんか悪いことしちゃったかな。
「あ、そろそろだ」
もう一回謝っとこうかな、そう思ったところで海に面した崖、とはいっても水面までの距離はせいぜい1メートル程度の場所に出て、目印にしていたひもに括り付けた浮き輪がぷかぷかと浮かんでいるのが見えた。
「いよっこいせぇ!」
掛け声とともに、その浮き輪に手を伸ばして思いっきり引っ張る。あれ、これ意外と重いのね。もうちょっと人手がいるし、またデッキの誰かに手伝ってもらおうかな?さっそく呼び出そうとすると、すぐ近くに三沢がいるのを見つけた。まだこっちには気づいていないようで、海に向かって何やら体操をしている。
「おーい、みっさわー!暇ならこれ手伝ってくれるー?」
手を口に当てて声を張り上げる。すぐに気付いてくれたみたいで、こっちに向けて走ってくるのが見えた。
「おいーっす、三沢。おはよ」
「ああ、おはよう。それはいいが、一体こんな時間から何をしてるんだ?」
お前もな、と言いたいのをぐっと飲み込む。あまり無駄話をしてる暇はない。今はそれより、こっちを手伝ってもらいたいのだ。
「訳は後で話すからさ三沢、ちょっとこれ引っ張るの手伝って…くれ、る……?」
「わ、わかった!」
割と全力で引っ張ってるのにちっとも海から引っ張り出せない浮き輪を見て、慌てて手を貸してくれる三沢。
「ありが、と……!」
「気に、する、な…!」
二人がかりで思いっきり引っ張ってると、何かバチッと嫌な音がした。そしてみるみる軽くなってくる浮き輪。あああああ、やっちゃった!
「きょ、今日のごはん〜………」
涙目になってもう一人でも持ち上げられる重さの浮き輪を引っ張り上げると、案の定無残に大穴のあいたでっかい網がくっついていた。それを黙ってみていた三沢が、信じられない、といった様子で声をかけてくる。
「ま、まさか今日のごはんって……」
「ここ、十代と釣りしててもよく釣れるポイントだから、レッド寮の食卓に刺身なり焼き魚なりを出そうと思ってゆうべの夜遅く頑張って定置網張っておいたのに、せっかく金曜のエビフライと毎日のメザシ以外にも海産物を安定して全員に出せると思ったのに!」
「そんなに困ってるなら一言相談してくれ!」
『う
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