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銀河英雄伝説〜悪夢編
第二十話 返しすぎだ、馬鹿野郎!
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けられたものだ。誰がやったのかは分からんがきっちりとお返しはさせてもらう。いかん、もう一つ訊くのを忘れていた。

「今日は何日です?」
「今日は十八日です」
「十八日……」
俺が負傷したのは十三日、今日で五日目か……。五日間、何が有った?

レーナルト女医が安静にするようにと言って部屋を出て行くと入れ替わりにクレメンツ、ミュラーが入って来た。二人とも心配そうな表情をしている。
「気が付かれましたか、心配しました。皆が来たがったのですが大勢で押し掛けては御迷惑かと思い私達だけできました」
「済みません、心配をかけたようです。一体何が有ったのです」

クレメンツがヴァレリーに視線を向けるとヴァレリーが首を横に振った。“話してないのか”、“話していません”、そんな感じだな。
「閣下を襲ったのはベーネミュンデ侯爵夫人の意を受けた者達です。彼女は今回の一件の背後に閣下が居ると思ったようです。閣下が国務尚書を動かしたと思った……」
「馬鹿な……」
有り得ない、あの女なら背後に居るのはアンネローゼだと思うはずだ。それが何故俺になる?

「それで侯爵夫人は如何しました?」
クレメンツとミュラーが顔を見合わせた。
「自殺しました。飲み物に毒を入れて……、服毒自殺だと思われます」
「違う、自殺じゃない……」

あの女が自殺などするはずが無い。自殺とは罪を認めるか絶望した者がとる行為だ。あの女は自分が被害者だと信じていた、罪など認めるはずが無い。そしてアンネローゼが居なくなればフリードリヒ四世は自分の所に戻って来ると信じていたのだ。絶望などするはずが無い。

「殺されたと?」
「そうだよ、ナイトハルト。彼女の狙いはグリューネワルト伯爵夫人だったはずだ。それを私にすり替えた人間が居る。その人物が侯爵夫人を殺した。多分屋敷の誰かを買収して飲み物に毒を入れさせた。そんなところの筈だ」
誰だ? 馬鹿八人衆か? 或いはブラウンシュバイク公? 他の貴族の線も有るな、随分と手際よくやったものだ。余程俺を殺したかったらしい。

「確かに捜査に当たった憲兵隊の話では幾つか不審な点が有るそうですが……」
「ギュンターを、いやキスリング中佐を呼びますか?」
「いや、今の私は動けない。暫くは向こうの芝居に付き合うしかない。他言はしないでください」
クレメンツとミュラーが頷いた。

「他には?」
「……イゼルローン要塞が落ちました」
「いつです」
「十六日です。侯爵夫人の事件の所為で軍は混乱しました。小官はあれを十四日には上に出したのですが……」
クレメンツが首を横に振った。

「後回しにされたのですね」
「はい……」
一つ躓くと全てが駄目になるという事だな。ヤンが動いたか……、となると問題は帝国領出兵が有るかどうかだ。宇宙艦
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