第二十話 返しすぎだ、馬鹿野郎!
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閣下の地上車の左側面は大きく凹みました。そして右側面は壁に押し付けられこちらも凹んだのです。閣下の御怪我は右側に集中しています」
なるほど、ギブスも右側だ。待て、左側にはリューネブルクが居たはずだ、奴はどうなった?
「状態は良くありません」
「それは死にかけているという事ですか?」
「いいえ、そうでは有りません」
「では軍には戻れないと?」
「いいえ、それも有りません。怪我が治れば軍への復帰は問題ありません」
「ならば問題は有りません。続けてください」
リューネブルクも怪我をしてるのかな、多分そうだろう。看護婦に手を出すんじゃないぞ。
「右肩を骨折、そして下腕部を複雑骨折しています。残念ですが下腕部の複雑骨折は治っても以前の様に重いものは持てなくなると思います」
「問題ありません、元々重いものなど持った事は有りませんから」
レーナルト女医がまた困ったような表情をした。やせ我慢とでも思ったか。だが俺の言葉に嘘はない、ペンとナイフとフォークが持てれば十分だ。俺は肉体労働者じゃない。
「それと閣下の右足首から先は失われました」
「失われた?」
「前部座席に挟まれ抜けなくなったそうです。そのため已むを得ず切断したと聞いています」
腕の無い軍人や足の無い軍人は幾らでもいる。俺もそれの仲間入りという事だ。今更驚く様な事じゃない。
「痛みが有りませんが?」
「痛み止めを閣下に投与しています。今果義足を用意しています。後五日ほどで出来上がるでしょう。それと右大腿骨骨幹部を骨折していましたので手術で対応しました。今閣下の右足には髄内釘が入っています。今後快癒しても歩行に多少の不自由を感じるかもしれません」
「分かりました」
良く分からんが右足の太腿の骨が折れた、だから何かを入れてくっつけてるって事だろう。こいつも問題ない、宇宙艦隊総参謀長が旗艦の中をうろうろ歩き回るようでは負け戦だ。俺は負けないように頑張ればいいだけだ。簡単だな、言葉にすると。実際に行うのは至難の業だが。
「他には?」
「右側の肋骨が三本折れています。そのうち一本が肺に突き刺さりました。そのためかなり危険な状況になりました。足首の切断を躊躇えば危ないところだったと思います」
やれやれだな、どうやら本当に死にかけたらしい。
「他には?」
何が来ても驚かんぞ、そう思ったがレーナルト女医は首を横に振った。
「有りません、それだけです」
「どのくらいで退院できますか」
俺が問い掛けるとレーナルト女医が少し考えるそぶりを見せた。
「入院そのものは一カ月ほどになります。ただ退院後もリハビリに通っていただかねばなりません。大体それが一カ月とお考えください」
「分かりました」
二カ月か、ちょっとかかるな。それにしても随分と派手に痛めつ
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