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機動6課副部隊長の憂鬱な日々
外伝
外伝1:フェイト編
第8話:研究所にて
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ですね」

フェイトは書類から目を離すことなく小さく頷きながらそう答えた。
その様子がクリーグには淡々と調査を進めるように見えた。

「そうですね、って・・・何を・・・」

平然としているのかと続けようとしたクリーグは書類の端が
揺れていることに気がついた。
書類を持つフェイトの手は固く握りしめられ、小刻みに震えていた。
クリーグは出かかった言葉を飲み込んで、次々に書類をめくっていく
フェイトの表情を見つめていた。

しばらくして、すべての書類を見終わったフェイトが顔を上げ、
大きく一度息を吐いた。

「こんなことって・・・」

「何が書いてあったんですか?」

つぶやくように言ったフェイトにクリーグが尋ねると、
フェイトは無言で手に持った書類をクリーグの方に突き出した。
クリーグはひとつの隅にフェイトが握りしめていた跡の残るそれを受け取ると
パラパラとめくりながらその中身を読み流していく。
読み進めるに従ってクリーグの表情が険しくなっていく。

「これは・・・」

一通り読み終えたクリーグは書類から目を上げると、小さくそう言った。

「ヒトクローンを用いた人体実験・・・だって!?
 ここって管理局の関連施設でしたよね!?」
 
クリーグがフェイトに向かって問いかける。

「そうですね」

混乱した表情を見せるクリーグとは違い、フェイトは一見冷静に見える表情で
淡々と頷いた。

「なんでこんなことを管理局が!?」

「それはこの資料からでは判りません。 そもそも管理局の組織的な行動とは
 限りませんよ」
 
「なら一体誰が!?」

詰めるように尋ねるクリーグにフェイトは力なく首を振った。

「クリーグさんもそれを読んだなら判ってますよね。 それは判らないって」

「でも!」

その時2人の耳に撤退命令を告げる通信が届いた。
2人はお互いの顔を見合わせ黙って頷き合うと、研究所の外に出るべく歩き出した。





「・・・というところですね」

フェイトの話を聞き終えたゲオルグ達は神妙な顔でうつむいた。
テーブルの上にはフェイトが研究所から持ち帰った書類の束が置かれていた。

「なんというか、信じがたいことなんだが・・・」

ミュンツァーがそう言うと、ゲオルグはパッと顔を上げた。

「ですが、僕とフェイトはここに書かれている通りの化け物との戦闘を
 経験してるんですよ。 信じざるを得ないと思いますが」

食ってかかるような口調で言うゲオルグに対し、ミュンツァーは
落ちつけと言うかのように手を振る。

「別に信じないと言ったわけじゃないが、どうも想像を絶するというかな・・・」

ミュンツァーはそう言って一瞬だけ苦
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