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機動6課副部隊長の憂鬱な日々
外伝
外伝1:フェイト編
第8話:研究所にて
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文書は見つからず、フェイトは肩を落とした。

「執務官、ちょっといいですか?」

声がした方に顔を向けたフェイトの目に、手招きするクリーグの姿が映った。
その仕草に誘われるように、フェイトは椅子から立ちあがってクリーグの方に
歩を向ける。

「何かあったんですか?」

「これを見てください」

クリーグがそう言って指差す先には壁があった。
フェイトは意味が理解できず首を傾げる。

「えっと・・・、私にはただの壁にしか見えないんだけど・・・」

「ここです。よーく見てください」

クリーグの声に押され、フェイトは壁に顔をグッと近づけた。

「あっ・・・」

壁の表面をじっと見ていたフェイトが声を上げると、クリーグがにっこりと笑った。

「気がつきましたね?」

「はい。 何でしょうね、この筋」

そう言ってフェイトは右手で壁の一部を撫でた。
フェイトが撫でた壁の表面にはパッと見では判らないような筋が
1辺20cmほどの小さな正方形を描いていた。

「不自然ですよね」

「そうですね」

クリーグはフェイトに向かって頷くと、壁の筋で囲まれた部分と
それ以外の部分をそこらにあった棒で叩き比べ始めた。
それぞれを何度かずつ叩き、その音の違いに注意を払っていた2人は
お互いに顔を見合わせた。

「違いますね」

クリーグの言葉にフェイトが頷く。

「筋の中は空洞みたいですね。 壊してみます?」

「そうですね。 お願いします」

フェイトはクリーグに向かってもう一度頷くと、バルディッシュの刃を壁にそっと
押しあて、筋に沿ってゆっくりと動かした。
やがて刃が一周すると壁の一部がゴトリという音を立てて床に落ちた。
そこは2人の考え通りに小さな空洞となっていた。
フェイトとクリーグは壁に空いた小さな穴の中を覗き込んだ。

「あ!」

その中に置かれていたものにフェイトは思わず声を上げる。
そして穴の中に手を伸ばしその手に掴んだのは、厚さが1cmほどもある
紙の束だった。
束の一番上にあった書類を読み始めたフェイトは驚きで目を見開いた。
フェイトの表情に興味をそそられ、クリーグが横から書類を覗き込む。

「なっ・・・!」

その内容にサッと目を通したクリーグは驚きのあまり小さく声を上げてしまう。

「なんですか、これ?」

クリーグは自分が目にした書類の中身を信じられず、フェイトの方に
顔を向けて声をかけた。

「見ての通りじゃないですか?」

フェイトは低く抑えた声で小さくそう答えた。

「ちょっと待ってくださいよ。 ここって管理局の関連施設でしたよね?」

興奮した口調でクリーグはフェイトに詰め寄った。

「そう
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