第十九話 トリップするのは止めてくれ
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に協力者を失ったのだ。その代わりに選んだのがこの俺か、ラインハルトを元帥府に呼ばない事で仲が悪いと思ったのだ。馬鹿馬鹿しいにも程が有るな。
「宜しいか? 軍に宮中の諍いを持ち込むのはお止めいただきたい。警告はしました、では失礼させていただきます」
侯爵夫人が何か騒いでいたが気にせずに部屋を出た。一生その部屋に居ろ、ドアに御札を貼って封印してやる……。
「それで、どうなさったのです?」
「帝国軍三長官に報告しました。それとミューゼル少将にも連絡を。暫くは辺境に居ろ、念のため身辺に注意しろと伝えました」
「グリンメルスハウゼン元帥には」
「一応は」
「なるほど」
クレメンツが頷いている。そして俺を見た。
「では何を御考えなのです。問題はないと思いますが」
「余計な事をしたかなと。あの夫人の話に乗る者などいないでしょう。勝手に夢を見させておけば良い。それより下手に騒ぐと暴発するかもしれない、その方が危険だったかと思ったのです」
“うーん”とクレメンツが唸った。
「しかし大人しく夢を見ているでしょうか、夢と現実の区別がつかなくなるのも危険です。お話を伺うと侯爵夫人は夢を見ているというより現実が見えなくなっているようにも思えますが」
「……」
なるほどなあ。原作の暴発は周囲があの女をつつき回したから起きた、つつく奴が居なければ起きないと思ったんだが……。
「閣下の身辺警護を厳しくしましょう」
「今の警護で十分ですよ……」
「念のためです。リューネブルク中将にも協力してもらいます。それでなくても閣下は貴族達から恨みを買っているのです。軽視すべきではありません」
やれやれだな、溜息が出た。
宇宙暦796年 4月 15日 ハイネセン 統合作戦本部 ヤン・ウェンリー
「ヤン准将、ビュコック司令長官から話しは聞いた。イゼルローン要塞を攻略するか」
「はい、このままでは司令長官は弱いままです。宇宙艦隊を統率出来ないでしょう。それがどれだけ危険な事か」
「確かにそうだな」
私の言葉にシトレ本部長は苦い表情で頷いた。本部長室には私と本部長以外は誰も居ない。本部長は執務机に、そして私はその前で立っている。
前回の戦いは第十一艦隊司令官、ウィレム・ホーランド中将の命令違反により同盟軍は敗れた。それが無ければ勝てただろうという意見が軍内部では出ている。実際帝国軍でも命令違反としか思えない行動をしている艦隊が有ったのだ。ホーランド中将の馬鹿げた行動が無ければ勝てたと言うのは根拠のない意見では無い。
ビュコック司令長官の統率力が弱過ぎる、いやそれ以上に各艦隊司令官がビュコック司令長官の権威を認めようとしない、今後もそれが軍事行動に影響を与えるのではないかと宇宙艦隊司令部では
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