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舞台神聖祝典劇パルジファル
第一幕その十四

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第一幕その十四

「昂然としてそのパンを」
「肉の力と強さに変えよ」
「死に至るまで誠実に」
「如何なる労苦にも揺らぐことなく」
「救世主の技を実現せよ」
「今こそ」
 そして今度は。
「葡萄酒を取れ」
「新たにその葡萄酒を」
 血であった。
「命の燃える」
「血に変えよ」
「協力を喜び」
「兄弟の誠実さを保ち」
「幸深き勇気を奮い」
「そして戦うのだ」
 こう述べられていってであった。
「信仰に幸あれ」
「愛と信仰に幸あれ」
「愛に幸あれ」
「信仰に幸あれ」
 騎士達の言葉が続く。そのうえで粛然と広間を後にする。王は暫くそこにいた。だがその顔は次第に俯いていき倒れるようになった。小姓達が王を気遣って集まるがその脇から赤いものが滲み出ていた。
 王はそのまま連れて行かれる。そして若者とグルネマンツだけになった。だが若者は胸に手を当てて王を同情する顔で見ているだけであった。
 グルネマンツは彼の傍に寄りだ。難しい顔で問うのだった。
「何かわかったか?」
「何かって?」
「今見たものがわかったか?」
 こう問うのだった。
「御前が今見たものがだ」
「一体何を」
 戸惑った顔での返答だった。
「僕が何を」
「そうか。やはり御前は只の愚か者か」
 グルネマンツはそこまで聞いて残念そのものの声で述べた。
「所詮は」
「僕は一体」
「行くがいい」
 その諦めた声での言葉だった。
「好きな場所に行くがいい」
「ここを去る」
「その前にパンと葡萄酒位はやろう」
 これは彼の気遣いであった。
「しかしだ。腹の中に入れたならばだ」
「ここを去る」
「そうだ。その時には何も傷つけるな」
 先程の白鳥の話である。
「わかったな」
「うん、じゃあ」
「共に悩みて悟りゆく」
「純粋無垢の愚か者」
 またこのことが言われた。
「信仰に幸あれ」
「愛に幸あれ」
 若者はその言葉の中を去っていく。今聖者はいなかった。

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