二十一 疾風に勁草を知る
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脳裏に浮かびあがった。
死――-それは自身の世界で何度も体験し掛かっているものである。それなら馴れているかというはずもなく、やはり横島は死ぬ事が本気で恐ろしかった。しかしながら誰もが感じる恐怖対象である死に直面しつつも、なんだかんだと助かっていた横島は、どこか心の片隅で自分は死なないと思い込んでいた。
だがこれは…もうそんな次元では無かった。
(マジで死んでまう……ッ)
後悔ばかりが彼の脳内に押し寄せる。諦めの境地で横島は瞳を閉じた。
けれど痛みは微塵も襲ってこない。疑問を感じ、うっすらと目を開けた横島は息を呑んだ。
彼の瞳に映った光景は――――横島を庇うように両手を木の幹についているハヤテの姿だった。
口からぽたぽたと滴り落ちる、赤い液体。
ハリネズミのように手裏剣を背中に突き刺されたハヤテの身体がゆっくりと傾く。前屈みになった彼の体重が自身の身体に伸し掛かるのを横島は呆然と見上げていた。
ずしりとした重みを感じ、頬に生ぬるい液体が落ちてきた事で正気に戻る。
「は、ハヤテさ……」
ぱくぱくと口を開閉させる横島の耳に、音忍達の嘲りを含んだ言葉が届いた。
「馬鹿な奴だ。自身も毒を塗ったクナイに刺されているというのにその解毒剤をあっさり……」
その言葉を聞いて、至急ハヤテの肩を見る。そこには確かに横島の左足の傷と同じくどす黒い色の切り傷が出来ていた。九人目の忍者によるものだと即座に思い当っていた横島の耳は、音忍達の次の言葉を聞き逃さなかった。
「そんな間抜け面の男など放っておけばよかったものの……」
「ま、こんな奴が忍びたぁ…木ノ葉の里の暗部総隊長とやらも高が知れてるな」
―――――――――――――ぷちん
頭のどこかで何かが切れる音がした。
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