二十一 疾風に勁草を知る
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目前に、葉音と共にドサリと何かが落ちてきた。その者の額宛の模様を見て彼はほっと息をつく。
背後に現れた人物が見知った気配であると感じて、横島は後ろを振り返った。しかしその前に破璃がグルル…と唸り声を上げた。
横島の後ろには、音忍にクナイを突き付けられているハヤテが苦々しげな表情で佇んでいた。
「馬鹿が…俺が援軍を呼ばないはずないだろう…」
落ちてきたばかりの音忍が息も絶え絶えの様子でにやりと笑う。そして横島のほうに視線を向けると「よくも、あの時蹴り落としてくれたな…」と薄笑った。
二小隊である八人を待ち伏せ等から護衛する役目であるこの九人目の音忍は、距離を一定にとって後方を移動し敵襲に対応する。そして同時に旗色が悪いと察したら援軍を要請する役割も担っていたのだ。
援軍としてやって来た音忍がこの九人目を倒したハヤテの隙をついてクナイを突き付けたのである。
役目を無事終えた九人目の忍びは満足げな表情でガクリと首を垂れた。
「く…っ」
苦々しげな顔でクナイを突き付ける音忍の腕を振り解こうとするハヤテ。しかしながら今まで療養していた彼の体力はまだ本調子ではない。九人倒すのにいっぱいいっぱいであったハヤテには、援軍の音忍達を倒す力がもう残されていなかった。
「ふふ…この二小隊を相手出来るか?」
それでも足掻くハヤテを音忍は嘲る。気づけば横島とハヤテを取り囲むようにして八人の音忍が立っていた。
絶望的なこの状況で、言う事の聞かない身体を無理に動かした横島は態と明るい声を張り上げる。
「いや〜皆さん、お強い!!御見それしました〜!!」
この場にそぐわない突飛な言葉を口にしながらへらへら笑う横島に気を取られる音忍達。その緊張感の欠片もない言葉に、クナイをハヤテに突き付けている音忍の手が若干緩んだ。
その一瞬をついて破璃が音忍の腕に噛みつく。
「チッ、コイツ…」
破璃の鋭い牙が音忍の腕の肉を突き破る。急いで振り払おうとする音忍の鳩尾を肘で殴り、ハヤテが横島に駆け寄った。直後に彼は懐から何か注射器のようなモノを取り出し横島の腕に突き立てる。
何かの液体が体内に入っていくのと同時に、全身の倦怠感が薄くなり横島は随分と楽になった。ハヤテは既に死体から解毒剤を抜き取っていたのだ。
しかし破璃に噛みつかれている忍者の号令により音忍達は一斉に手裏剣を投げつける。横島とハヤテを狙ったその攻撃は確実に横島が凭れている木の幹へ向かった。
解毒剤を打たれたばかりで未だ身体の痺れがとれない横島は、回転しながら飛んでくる刃物を避けられなかった。
「…………ッ、」
意味の無い行為だとわかっていながらも思わず頭を両腕で庇う。串刺しになる自身の姿が明確な映像となって横島の
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