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復興の花
復興の花
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下げるか大手スパーの傘下に入れっていうご忠告なら結構です。サラリーマン辞めたばかりので」
遠野「違います。そんなことを言いに来たのではありません」
水野「じゃあ、言いますけど。県漁に逆らったから認可法人の認可おりないんですか?」
 水野は机を叩いた
 遠野「それは知りませんでした。このあと岩手県庁に掛け合ってみます」
水野「ほんとにしらなかったんですね。すいません勘違いしてました」
遠野「こちらこそすいません。水産特区のせいで現場を混乱させてしまって」
水野「いいえ。現場の話をまともにとりあってくれてありがたいです」
 頭を下げる水野
遠野「頭を上げてください」
 ゆっくり頭をあげる水野
遠野「それでですね。今日はREFISH[ 魚食の復権・促進を目的とし活動する団体。]への賛同と水産庁が推すファストフィッシュ加工のご説明をしにきました」
 水野の表情には満面の笑み
水野「そうですね。それなら若い人も魚食べてくれますよ。うちのブランドの『三千mフィッシュ』にこの加工合わせたらかなりの付加価値になりますよ」
遠野「それはよかった」

 応接間の外から声が聞こえる
「ナメタの煮付け出来たぞ」
 水野はイスから腰を上げる
 水野「うちのお偉いさんたちが帰ってきたので紹介します」
 遠野「はい」
 
 事務所中央に置かれた長机とイス
 各席の器に盛り付けられたカレイの煮つけ
 入り口側のイスに座る正・勝・充
 反対側に立つ水野と遠野
水野「こちら。水産庁の遠野さんです。いろいろ手伝ってくれるみたいです」
勝「中央様が」
 遠野は頭を下げる
正「中央の人よろしくな。よかったら煮付け食べれや」



 魚の骨をお茶碗にいれお茶を注ぐ遠野
勝「魚、ほんとに好きなんだな」
遠野「私、水産庁入る前シイラ船に乗っていたんですけどその時の船頭がここまでしてはじめて魚が成仏するんだっていってました」
充「でも、漁師がなんで中央に入ったんですか?」
遠野「大学まで行ったんだから現場の声を中央に叩きつけて来いって浜の野郎共が私の背中を押したんですよ」
正「あんたみたい人中央にいたんだな」
遠野「しかし、今もまだその約束が果たせてないのが現実です」






 越喜来の防災庁舎

 錆びた赤茶色の鉄の骨組み

 その前にそっと花を置く充

(回想)
 あの日。

 海の上
 充は震える手で携帯電話を耳にあてる
充「おい。そこにいて大丈夫なのか? 正さんがかなり高い波くるって言ってたぞ」
彼女「三階だから大丈夫よ。それにもう一回ぐらい放送かけないとみんな避難してくれないから」
充「三階でも危ないって。それ終わったら丘に逃げろよ」
彼女「そっちの方が危ないじゃん。沖にいる
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