復興の花
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だと値はつくし資源管理もできる」
充「たしかにそうすっね。獲る量減ったら活き〆で鮮度あげれるし」
正「俺たちはこれをやるんだ」
勝「今まではそこにあるぶんをねこそぎ獲って、今年は豊漁だとか不良だとかやってたからな。なんか馬鹿みたいだな」
水野「それをやったとしても誰が魚売りにいくんですか?」
お互いの顔を見合わせる漁師達
充は申し訳なそうな表情をして
充「それは卸の水野さんが」
水野「状況が大きく変わっちまったから販路確保できる保障はありませんよ」
正が頭を下げる
他の漁師たちもそれにつられる
正「この通りだ。こういうことはお前しかできん」
水野「頭上げてください」
顔を上げた正
渋い表情の水野
水野「ただし条件があります」
正「なんだ?」
水野と正のアップ
水野「前に言ってた。水深三千mの魚食べさしてくださいね」
正「おう。なんぼでも食わせてやる」
正は自信の満ちた表情で水野に向かって頷いた。
勝がその場から立ち上がる
勝「なんか七人の侍みたいだな」
水野「頭数だけけじゃないですか」
充「七人の侍って何?」
正「世界のクロサワだよ。それより記念に一枚写真撮ろうか」
七人が並んだ記念写真
皆がこれから来る試練を覚悟したかのように鋭い目つき
こうして七人の同志が集り新会社作りがスタートした。
それから数日
越喜来港
打ちあがったがれき
車
壊れた船
養殖していた牡蠣と腐敗する魚があたりを埋め尽くしている
砂浜海岸
浜に打ちあがった使えそうな魚網、浮きなどの資材を拾いつめる正たち
充「資材は自分達で買えって。国もホント酷な事をゆうよな」
正「そんなこと言ったって何もはじまらねえ。俺達はやるしかないんだ」
勝「そうだ。やるしかねえんだな」
この日の夜
越喜来漁港跡地
民謡ライブ
ソウル・フラワー・ユニオン 満月の夕
の演奏がスピーカーを通して流れる
観客席に腰をかける正と初音
初音「今まで泣けなかったら泣きますよ。わたしは」
初音の大粒の涙一滴が流れ落ちる
正 「みんながみんなに気をつかってみんな泣くこと忘れてたんだな」
そのころ水野は
盛岡市の繁華街アーケード
あたりはもう真っ暗
ガランとしている
寿司店の店内
客はいない
水野「大将。お願いします」
頭を下げる水野
カウンターを挟んで水野を見下ろす店主
店主「あんたには恩があるけど。うちもこのとおりだ。すまんが帰ってくれ」
寿司店の外
暖簾の前にたつ水野
遠くからフォークギター演奏の竹原ピストル・復興の花
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