復興の花
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だ。すべてが」
夜になりそこはアン・サリー 満月の夕
の歌詞の世界のようだった。
水浸しの漁港は閑散としていた。
あれから一つき後
西日が差し込む
高台に立つ集会所の玄関
畳が敷き詰められている大広間
円を描いたように並べられた座布団にあぐらを書いて座る漁師達の後姿
正と後輩漁師の雅俊が向かいあっている
正 「雅俊本気なのか?」
正は心配そうな表情で雅俊を見つめた。
雅俊「正さんは船を沖さだして無事だったけど俺らは船流されてんだ。それに町のやつらがまだ沈んでるじゃないか。そんこでなとこで漁なんてしたくない。とりあえず丘で仕事探すんだ」
雅俊は正を睨む
漁師A「それからでも漁はできる。組合長もそうしろって言ったんだ」
「うんだ」
漁再開に反対する漁師達が大きく頷いた。
反対派の一〇人ほどのグループが立ち上がり去っていく
雅俊「正さん。精々がんばってな。まあ何事もあきらめが肝心だから無理せん程度にな」
正たちに背を向け玄関に向かう雅俊
その背中に充が襲い掛かろうとするが勝に払い締めにされた。
充「この恩知らず」
それをよそに正は窓から見える海を眺めていた。
すかっり落ち込んで肩を落としうつむいて座る残った六人。
客人「すいません」
皆が玄関の方向を向く
「俺行きます」
充が立ち上がり一目散にワクワクした表情で玄関に向かった。
玄関
開いてる戸
玄関の外にいる水野
玄関に靴を履いて下りた充
水野「中入っていい?」
充 「どうぞ」
充は笑みをこぼした。
大広間
充が水野を引き連れ部屋に入る
座布団に座る五人の視線は水野に注がれる
正 「俺らの仲間さなってくれるのか?」
水野「仲間ってなんですか? 僕は今までの通り卸やりますよ」
座布団にあぐらをかいて腕を組んで座る水野
その表情を正たちは覗き込むようにみた。
表情を柔らかくした勝がその表情の水野に話しかける
勝 「漁協もないのに卸はできないだろ」
水野「漁協は潰れませんよ。もう少し待てば県漁が復旧手伝ってくれて、また前のように戻ります」
正「前のようにもどってまたもうからない商売やるのか?」
水野「たしかにもうからないですけど。みんなそれでなんとかやってたじゃないですか」
充「それは漁協の言うとおりにやってたからだろ」
水野「正さんたち。もしかして独立するんですか?」
正「そうだ。これからは儲かる漁をやる」
水野「具体的に言ってくださいよ」
正「具体にって言われても」
水野「ノルウェーでは漁場管理が徹底していて魚を四年、五年太らせてから獲るんだ。それ
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