第三十八話 少年期【21】
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「本日は晴天なりー」
「なりー!」
朝ごはんを食べ終えた俺とアリシアは、リビングの窓を開けて朝日を身体いっぱいに受けていた。今日はいつもの制服姿ではなく、白い体操着と紺色のパンツを着こんでいる。今日は待ちに待った体育祭当日である。俺は筋肉をほぐすために伸びの運動をしておき、妹は動きやすくするために、髪をお団子にしながら1つにまとめていた。
雨にも降られず、いい天気を迎えられて本当によかった。絶好の運動日和だし、これはお昼に食べるお弁当も楽しみだな。個人的には急にコロッケが食いたくなってしまったが、母さんが作ってくれていることを祈ろう。昨日たまたま見たテスタロッサ家のお弁当箱が重箱だったから、きっと入っているはず。母さん、気合い入りすぎだ。
『ますたー、ハチマキの方はもうつけておきますか?』
「うーん、俺は学校についてからでいいや。アリシアは……何しているんだ」
「お兄ちゃん、……リニスにハチマキをつけてみたら思いのほか似合っちゃって」
「にゃう」
クラ校指定の赤いハチマキを頭から棚引かせる我が家の猫。妹よ、これ以上リニスに凛々しさや逞しさを付け加えてどうする。開け放たれた窓から入る風によって、いい具合にリニスのハチマキが揺れていた。ミッドの動物界の姉御の新たな姿にアリシアは戦慄。俺はコーラルに撮影を指示。いやだって、普通に面白いし、かわいいし。
それからリニスとアリシアの2ショットを撮り、そこに俺が入ろうとしたらキャットキックを食らわされながら、朝の準備を終わらせていった。今日は熱中症注意のために水筒は2個用意しておいたし、プログラムも汗拭きタオルもしっかり入れた。リュックに入れる物の最終確認をした俺は、登校時間まで家のソファに座り、朝のテレビ番組を見ながら時間をつぶすことにする。
そういえば、体育祭は2日間開催するが、初等部1、2年生の競技は1日目ですべて終わってしまうんだよな。さすがに2日連続イベントは、年齢が低い子どもたちには負担が大きいからという理由らしい。健康上とか安全からとか何とかかんとか保護者用のプリントに書かれていた気がする。異世界でも学校って大変だな…。
まぁそのため、明日は中等部がメインの競技が多く、初等部低学年は2日目は家で休息をとるか、見学自由としているのだ。俺は当然明日も学校に行って応援に行くつもりだ。友人たちもたぶん来るだろうから、ちゃんと約束を取り付けておこう。
『あっ、そうです。ますたーとアリシア様はどんな競技に出られるのですか? 確か少し違いましたよね』
「私は『かけっこ』と『ぷにゅ競争』と『玉入れ』と『ダンス』の4個だよ」
「俺は『かけっこ』に出なくて、『徒競走〈初等部低学年の部〉』になったな。なんか俺って、参加資格が取れていたみたいだから
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