第三十八話 少年期【21】
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ると俺の防御魔法の陣が徐々に1つにまとまっていき、半円球型のバリアを張っていたらしい。後に『サークルプロテクション』というプロテクションの派生型であることを俺は教えられた。
「フォトンバレット」
少女Dの拳から球状の魔力弾が形成され、10メートル先にある的に向かって放たれていた。先にたどり着いていた彼女がまだここにいるということは、俺が逆転できるチャンスはある。俺は防御魔法を解除し、すぐに『フォトンバレット』を発動させる。
彼女は苦い顔でわずかに外した的を見据えながら、修正を測っていく。俺が到着するまでに、すでに2発魔力弾を撃っていたようだが、どれも的を撃ち抜けていなかったらしい。少女Dは近接型のパワータイプだから、おそらく遠距離攻撃は苦手なのだろう。得意なら少年Eと紫の子のように誘導弾を撃っていたはずだからな。
だけど俺もそこは、まだ直射型の射撃しかできなかったから助かった。一応誘導弾は高等技術に分類されるから、今できなくてもむしろ当たり前のはずなんだけどね、あいつら2人がおかしい。だけど時間はそんなにないだろう。相手は徐々に的を捉えてきているため、いつ撃ち抜かれてもおかしくない。俺は魔力がかなり削れてしまい、荒くなる息を整えながらデバイスを構える。
ここでやみくもに撃っても外れてしまうだろう。だけど、正直狙ったからって中てられる自信があるかと言われれば答えられない。俺の作戦としては、何度か魔力弾を撃ってみて、その都度調節をしていくつもりだったのだから。今の少女Dと同じやり方だ。だけど、今更それだと間に合わない。
俺は自分で作り出した魔力弾を見つめる。大きさは俺の手のひらに収まるぐらいの球体型。それがデバイスの先端からふよふよと形成されていた。これを放って、的を狙うことになる。うーん、それにしても大きさといい、形といい、この浮かんでいる感じといい、なんだか家のデバイスを思い出すな。
……あれ、そういえば魔法って要はイメージが重要だったはず。俺としては魔法は銃の様に撃つイメージだったから難しいと思っていた。銃なんてゲームセンターのゾンビパラダイスで撃ったぐらいしかないのだから当然だろう。だけど、この魔法を放つときにもイメージが大切なのだとしたら。
「俺が作ったこの魔力弾を……コーラルだと思ったら」
俺の魔力変換資質によって電気を纏っていた球体を、緑色の宝石と被らせて見てみる。そして続いて的をじっと見据えた。あれ、なんでだろう。さっきまですげぇ不安だったのに、今なら全力で的に打ち込める気がしてきた。
俺は腰を落とし、杖の先端を後ろに下げていく。大切なのは振り上げる腕の角度と足の踏み込み具合。半身を構えて重心を右足に乗せながら、左足を静かにあげた。顔は目標に固定したまま、俺は
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