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少女1人>リリカルマジカル
第三十八話 少年期【21】
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る。感触まであるというのだから、それはもはや一つの現実だろう。

 リリなのの動画では当たり前のようにスルーしていたけど、これとんでもない技術だよな。自分の目で見てようやくそのことに気づいた。ただ機材の値段がかなり高く、電力も食うため学校には1台しかない。使用は主に中等部の生徒が中心で、初等部の児童は知識としてしか知らないのだ。

 だが、今日行われる『徒競走』はこのシミュレーターを使った競技である。魔法使用ありの競技では、ここは時々使われる場所なのだ。本物そっくりの偽物をこの目で見れ、触れる機会。なので俺としては、今回のこの競技はシミュレーター見たさに参加した部分もないとは言えなかったりする。


「あっ、アルにリトスじゃない。2人も徒競走に出るの?」
「うおっ、少女Dか。アリシアから聞いていたけど、やっぱり出るんだ」
「とーぜん」

 少女Dは胸を張り、楽しそうに笑顔を浮かべる。俺たちとは着ている服が違い、深い緑色のパンツと彼女の学校の校章が胸に刺繍された白の体操着だ。他校の体操着は初めて見たから、ちょっと新鮮な気分である。あと額に巻かれたハチマキの色も赤ではなく、青色。彼女のトレードマークであるポニーテールと一緒に、彼女の動きに合わせて元気よくはねていた。

 ふむ、俺の知り合いで徒競走に出るのはこのメンバーだけみたいだな。俺たち3人以外は、第1グラウンドで『かけっこ』に出場しているはずだし。

「あ、そうだ。2人とも、紫の髪をした女の子を知らない?」
「紫? レティ先輩は紫だけど、言っている子とは違うよな」
「私たちと同じ年で私と同じ学校よ。私の友達なんだけど、まだ来ていないのかな。お昼休みに改めてみんなに紹介しようと思っていたんだけど」

 きょろきょろと周りを見渡す少女Dと同じように、俺も辺りに首を巡らせる。もともと参加人数が少ないため、それほど混雑はしていない。そろそろ競技が始まるから、参加するならここにいるはずだろう。

 そんな風に見まわしていたら、ふと後方にいる男の子の後ろから長い紫色が見えた。その色は決して濃すぎず薄すぎないもので、優しく艶のある色合いだ。レティ先輩の髪の色が藤色なら、彼女の髪は紫苑のような色だろう。エイカのおかげで花の知識が微妙についているな俺。

「それでは競技を始めますので、事前に教わっている順番通りに並んでください」

 少女Dにあの子であっているのか確認をとろうとした時、係りの人から呼び出しがかかった。まぁどうせ後で確認をとることができるだろう。遅れて迷惑をかけないように、先生から言われていた場所へ俺は移動する。俺は第5レースの1コース目だ。少年Eは俺より2つ早い第3レース。そこにさっきの紫の子も並んでいることに気づいた。

「あら、いたと思ったらリトスと一
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