第一部
第一章 純粋すぎるのもまた罪。
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裏剣は彼を追って上へと飛び上がる。その手裏剣からは、ユヅルの指先から伸びるチャクラ糸があった。
弾いても無駄だと判断したのだろうか。木の枝をもぎ取ってチャクラを纏わせ、水を纏った手裏剣の真ん中のその空洞にそれを挿し入れ、一気に十枚全てをからめとる。いまだ水をまとって回転するそれを、木の枝ごと引っ張った。糸につられたユヅルが宙に投げ出され、地を削る。その指先からチャクラ糸が離れた。
「そんなことが出来るとは予想外だったな。だが――」
木の枝を振る。水を纏った手裏剣が術者であるはじめを襲った。慌てて術を解くも、手裏剣を避けきれず、いくつかが体を掠り、腕や脚に突き刺さる。ぐ、とはじめが呻いた。
「余所見してんじゃねーよっ、ミント野郎!」
後ろすら見ずにマナの回転蹴りを片腕で止める。元々体術が得意なわけではないマナの蹴りはかなり軽い。
「ミント野郎とはなかなかナイスな綽名だな」
嫌味か何かのように笑顔で言い放って、マナの足を掴み上げるなり五メートルほど向こうにぶっ飛ばした。怒った紅丸の突進をものともせず、まるでうるさい虫か何かを払うかのように手を一閃させて紅丸を叩き飛ばす。苺大福、とマナが叫んだ。
「……くっ、ぅ」
「大丈夫か? はじめ」
足や腕に突き刺さった手裏剣を引っこ抜いていると、マナが両手を腰に当ててこちらを見下ろしていた。
「ああ……大差ない」
「嘘つけ」
マナに引き起こされて立ち上がったはじめは、ミント野郎! という叫びに驚いて振り返った。自分の前にいるのはマナ。後ろでミント野郎と怒鳴っているのも、マナ。
「なっ!」
「うっわー、流石上忍、すっげークリソツ……」
ユヅルの呟きが聞えるのと同時に、腕に痺れるような感覚が走った。見るとミント野郎――もといハッカが、チャクラで傷痕の治療をしてくれているのだった。
「すまんな、痛かっただろう?」
変化の術であるマナがにたりと笑う。ユヅルとマナ、紅丸がそれぞれ違う方向からハッカに迫っていた。
「これでよし、と」
風塵を巻き上げながら跳び上がるハッカ。ハッカを蹴り飛ばすはずだったマナの足ははじめを蹴り飛ばし、ハッカを捉える筈だったチャクラ糸ははじめを捉えた。そしてハッカに噛み付くはずだった紅丸は、はじめの腕に噛み付いた。
「……!」
「っうっわ、すまんな!」
「あうん!?」
「えっ、ご、ごめんっ」
噛み付かれた腕は痛いが、我慢できるレベルだ。マナの蹴りにしても軽いからまだまだどうにかできる。はー、と溜息をついて呼吸を整える。激しくムカついたが、怒ったって何にもならない。マナの体術スキルがゼロだったのと、噛み付かれて血が出なかったのが救いだろう。傷口を確認し終えた彼はユヅルに
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