第一部
第一章 純粋すぎるのもまた罪。
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マナの傍を素通りしてワイヤーを切り飛ばしていく。閃光、煙幕、丸太、手裏剣、クナイ、爆発――一斉に起こる自らのトラップ攻撃に怯んだマナの背に衝撃が走った。はじめの蹴りが命中したのだ。紅丸を抱えて地面へ墜落するマナの首にクナイを当てて、その背を押してその体を地面に押し付ける。紅丸が怒りを顕にして唸ったが、はじめがクナイでマナの首を引き裂くのが怖いのだろう、噛み付こうとはしない。
「鈴を。持っているか?」
「……言うわけねーだろ、この女顔っ、! かはっ」
女顔といった途端、はじめはマナの体を引き起こすなり再び地面に叩きつけた。飴玉が口から飛び出て地面に転がる。はじめのクナイがそれを叩き割った。見上げると、はじめは怒りと悲しみの混じったような顔をしている。
――あ、こいつこんな顔も出来んのか
「飴玉……鈴を持っているのはユヅルか」
「え? ――お前もミントの飴玉?」
はじめは静かに頷いて、立ち上がる。懐から取り出した小箱の中から出てきたのは、やはりミント味の飴だった。
「――え?」
前方から聞えた声に頭を上げると、ユヅルが呆然とした顔で突っ立っている。そんな彼が小箱の中から取り出したのも、ミント味の飴玉だった。
「……ハッカ先生――嘘、ついたのか」
ユヅルは眉根に皺を寄せた。
「じゃあ――鈴は?」
「……若しかしたら、本当はハッカ先生のところにあるのかもしれないな。もしくは最初からないか。どちらにせよ――」
そちらへ行く必要があるようだ。静かに言うはじめに、ユヅルとマナは無言で頷いた。
+
「わん」
「おっ。苺大福がミント野郎を見つけたようだぜ」
「……ミント野郎?」
ご丁寧に、六メートルほど向こうに分身があるが、それで紅丸の鼻は誤魔化せないし、マナの鼻も誤魔化せない。曰く、「あっちのミント野郎にはミント飴の匂いがしない!」だそうだ。
「流石に上忍ににそれはないだろう。……まあいい。作戦通り、いくぞ」
「了解!」
クナイを取り出して、既に彼の付近に張り巡らしてあったワイヤーを切る。すぱっと小気味のよい音と共に、クナイが一斉に飛んだ。不規則な軌道でやってくるクナイを自らのクナイで弾いていくハッカ。それを弾くハッカの目は閉じられている。音でその軌道を読んでいたというのか。改めて驚かされるが、本番はここからだ。二本目のワイヤーを弾くようにして切る。手裏剣の束が飛んでいった。それを弾こうとハッカがクナイを構えるが――
「水遁・水車輪!」
はじめの術にかかっていた手裏剣は一斉に反応を示し、水を纏い出だす。水を纏った手裏剣は急速に回転しだし、青白い光を放ちながら突進した。
すっと目を開けたハッカは、飛び上がってそれを回避した。しかし十枚の手
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