第一部
第一章 純粋すぎるのもまた罪。
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小箱の中身を知ることが出来るのは自分だけ。言動などから他二人に鈴があるかどうか、自分にあるかどうかを見極めねばならない。つまりこれは頭脳戦。そして隠すにあたっては隠蔽術、奪うにあたって必要なのは戦闘力だ。この三つをテストするものなのだろう。
封印術の解き方はハッカに教わっている。ハッカ曰く三つの小箱全ての術が違うそうだから、自分のは開けられても他人には開けられない。なんとか奪えて十二時にハッカに持っていけたとして箱が空なら意味はない。
「解」
箱が開いた。中から転がり出てきたのは……ミント味の飴玉? つまり外れということか。それを握り、再び封印をかけてジャージを引っ張り、無い胸に額当てでなんとか縛り付けてみた。ここなら奴らも迂闊には触れまい。たとえまな板だとしても。
「苺大福、一文字はじめといとめユヅルの臭いを嗅ぎ出せ」
「わん!」
すんすんと地面に鼻をつけて歩き出した紅丸の後を追いつつ、ワイヤーを張り巡らし、クナイを吊り下げ起爆札を貼り付けてトラップをつくりあげていく。
「わん」
紅丸に促されて頭をあげると、十五メートルほど前にはじめがいた。紅丸を抱え上げ、木を蹴り飛ばしてその中へ突っ込む。
「よしっ、苺大福、ここら一帯にマーキングしとけ。ここがアタシのテリトリーだ」
「わんっ」
言って、紅丸とは逆方向に走り出す。木肌を蹴ってワイヤーを木の枝に固定すると、更に細い釣り糸を片手にたった今きた道を帰っていく。マーキングをしている紅丸が目に入った。
ワイヤーの直ぐ近く、ワイヤーを避けた敵が着地するであろう場所に釣り糸を引っ張っていき、二重トラップへと仕立て上げる。因みにこれらを習得したのはまだ教室を抜けるのが余り得意でなかったころで、これに閃光玉や煙り玉などを加えていた。いくつかの地点に括り付けてみる。よし、これで完璧。
恐らく内二つの箱の中に、鈴のかわりにダミーとして飴が入っているはずだ。その内一つのが自分の。はじめが持っているのがなんなのかは分からない。
飴玉を食べる。すうっとするようなミントの味が口の中で広がった。それと同時に頭もすうっと涼しくなっていくような気がする。
はじめから五メートルばかり離れた場所に起爆札をしかけ、紅丸を抱いてそこを離れる。数秒とたたず、爆音。ちらりと振り返ると、木の枝を蹴って飛んでくるはじめが目に入った。
「っうわ」
頬をクナイが掠める。はじめとは案外攻撃型なのだろうか。
まあどちらにせよ、マナのテリトリー内でそんなものを迂闊に放ってしまえば――
「危ないことになるぜ、はじめ――っえ?」
仕掛けた丸太がぶうん、と唸りをあげてこちらへ飛んできた。どうやらはじめにはちゃんと見えていたらしい。飛んできたいくつかの手裏剣が
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