暁 〜小説投稿サイト〜
銀河英雄伝説〜悪夢編
第十七話 お前、今何を言ったか分かっているのか?
[2/7]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
に助けて恩を着せる、そんな事を考えているかもしれん。劇的な事が好きな連中だからな、その段取りで一時間かかったか。

「卿らの行動は軍の統制上許される事ではありません。軍法会議で裁かれることになります」
「……」
「有りませんか。……抗命罪、特に敵前、戦闘中の抗命罪は死罪も有り得ます。この場で話す事が無いのなら後は軍法会議の場で自らを弁明されるが宜しかろう」
僅かだが二人の表情が歪んだ。多少は恐怖が有るか。

「クライスト大将、ヴァルテンベルク大将。卿らの艦隊司令官としての職責を解く。武装を解除の上卿らの身柄はオーディンまでブリュンヒルトにて拘束する」
俺が陸戦隊に視線を向けると四人の陸戦隊員がクライスト、ヴァルテンベルクに向かった。

「ヴァレンシュタイン大将」
出たよ、最初はシャイド男爵か。余裕たっぷりの笑顔だな。
「幸い戦いは勝ったのだ、そのように厳しくしなくても良いのではないかな。二人とも久しぶりの戦いだったのだ、つい間違いを犯したという事は誰でもあるだろう」

もう少しで吹き出すところだった。ヴァレリーは呆れ顔だ。間違いってのはお前らを艦に乗せた事だ。それ以上の間違いが有るとしたらお前らみたいな馬鹿が貴族に生まれた事だな。いや元々馬鹿だったが貴族に生まれたからそこまで馬鹿が酷くなったのかな? 参謀連中も呆れた様な表情をしている。

陸戦隊が戸惑っている。立ち止まって俺と馬鹿八人衆を交互に見ている。やっぱり貴族ってのは怖がられている。
「残念ですがそれは出来ません」
「しかし……」

わざと大きな溜息を吐いた。
「シャイド男爵。これは軍の統制の問題なのです。貴族が口を出す事では有りません。貴族が軍の統制を乱す、そんな事は有ってはならない事なのです。……早くしなさい、何をしているのです」

俺が陸戦隊員を睨むとようやく四人の陸戦隊員が動き出した。クライスト、ヴァルテンベルクの顔が強張った。俺が何を言おうとしているのか理解したのだろう。絶望的な表情で俺を見ている。そして馬鹿八人衆を見た。連中には助けを求めているように見えたはずだ。シャイド男爵が慌てた様に声を出した。

「待て、ヴァレンシュタイン」
「口を出すなと言いました」
シャイド男爵が口籠るとフレーゲル男爵が
「待て、ヴァレンシュタイン」
と声を出した。

「……今度はフレーゲル男爵ですか」
ワザとウンザリしたように言った。フレーゲルの顔が屈辱に歪むのが見えたが直ぐにその顔に嘲笑が浮かんだ。
「彼らは私達の指示に従っただけだ。それなら問題は有るまい」
「……」

一瞬だが呆然として馬鹿みたいにフレーゲル男爵の顔を見た。俺だけじゃない、皆がだ。拘束に動いた陸戦隊員も立ち止まっている。ヴァレリーも目が点だ。帝国では有り得ない事が起きる
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ