暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女と魔術少女〜あかいあくまの奮闘記〜
幕間 「別世界への旅立ち -前編-」
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ないでしょう?」
「当然ですわ。誰が貴女に電話などするものですか。それより今は一刻を争いますの。シェロを出しなさい」
シェロ?
あぁ、士郎の事か。
まだ執事が欲しいのかしら、アレだけ士郎をあげる気はないと言っというのに。
「残念ね、今は留守よ。多分、もうそろそろ帰ってきてもいい頃だけど」
士郎が出発して、今日で約一週間になる。
いつものパターンだと今日か明日中には帰ってくる筈だ。
「では帰り次第、貴女が伝えなさい。いいです事? シェロの確保が協会で決定されましたの」
決して、良好な仲ではないルヴィアからの電話だ。
普通の連絡でなかった事は予想していた。
だが、ルヴィアの口からは予想を大きく上回る事態が告げられた。
「その情報、信頼出来る物なの?」
冷静にルヴィアに質問する。
ここで取り乱しては駄目だ。
そんな事よりも、やらなければならない事がある。
「ソースは信頼出来る物ですわ。でなければ、わざわざ連絡などしません」
「―――そう」
私にはそれ以上の事が言えなかった。
こうなるかもしれないと、分かっていたのに。
アイツに頼まれていたのに、私はその責務を果たせなかった。
この世界は、こんなに儚い夢も見せてくれないのか。

―――たとえ夢物語なんだとしても、全てを救う努力を俺は止めたくない。

そう言って、士郎はあれから戦ってきた。
それは、確かに甘い考えだが、聖杯戦争の頃よりは遥かに現実を見ている。
夢を夢で終わらせない努力すら、許してくれないのか。

「情報を得たのは一昨日ですの。既に協会の手が及んでいる可能性は否定できませんわ。けど、私に出来るのはここまで……。後はミス・トオサカ、貴女に任せますわ」
「どうして、ここまでしてくれるのよ? 貴女らしく無いじゃない」
精一杯の強がりを見せる。
今、弱音を見せたら多分、私は立ち直れない。
「勘違いしないで下さいますこと? これはシェロの為ですわ」
「士郎の為?」
半分が嘘で、半分は本当だろう。
電話越しとはいえ、ルヴィアの考えている事は分かる。
私が、彼女の立場でもそう言うだろうからだ。
「シェロは馬鹿な上に甘いですわ。全てを救う正義の味方だなんて……。潔く我が家の執事をしていれば良いものでしたのに。けど、私はシェロのそういう甘い所、嫌いじゃありませんの」
「ルヴィア……」
「しっかりなさい、ミス・トオサカ。それとも貴女には何も出来ないと仰るの?」
信じらない……という事はない。
確かにルヴィアは傲慢で高圧的で、ついでに言うと生意気だ。
けど、そんな彼女は自分が認めた相手には敬意を表する人間であると私は知っている。
そして、彼女が辛く当たるのは信頼している証だという事も。
「シェロは貴女を選んだのです。なら、貴女は貴女に出来
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