第11話「迷子」
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エヴァンジェリンの件は数日で解決した。
途中、元気のないネギを励まそうと女性徒たちがネギを拉致したり、人語を話すオコジョがネギの仲間になったり、ネギが授業を放棄しようとしたりと色々あったが、無事に終わったらしく気付けばエヴァンジェリンも学校に来て授業に出るようになっていた。
「力は取り戻せたのか?」と尋ねたタケルに「うるさい!」とエヴァンジェリンの怒鳴り声がかえってきたからには計画は失敗したのだろうとタケルは考えていた。
とはいってもタケルとしては以前と変わった様子がないだけに、むしろ普通に付き合うことができていたのだが。
エヴァンジェリンの事件も終わり、彼がホッとしたのも束の間、いつの間にやら修学旅行の2日前でまで差し掛かっていた。
いつも高校の制服ですごしていたタケルだったが、何日も滞在する必要がある以上、当然、服が必要になる。
と、いうわけで私服の買出しに原宿まで来ていた彼だったが、早速一つの困難に見舞われていた。
「――迷った、だと?」
またか、と思われるかもしれないが、タケル自身のことではない。
目の前の少女、年の頃は5、6歳といったところか。
名前はマユ。
まん丸な瞳に、ふっくらとした頬と愛らしい口。短いツインテールで髪をまとめて活発そうで可愛らしい少女だ。
――神楽坂さんを小さくして、優しい感じにした子だな。
咄嗟に生徒と比べてしまうのは、タケルが少しは先生をやっていることになるのだろうか。
「で、マユはここでお母さんを見失ったのか?」
相変わらず泣きそうな顔で頷く。
「そうか」
呟き、辺りを見渡す。
本日は休日の、今はお昼過ぎ。あたりを大量の人が行きかい、さすがにここから人を探すのは少しばかりムリがある。
――なぜこうなった。
理由は簡単だ。
この子がどこで間違えたのか、しかも学ランを着ているタケルの何を間違えたのか。少女はタケルを母と勘違いしてついてきていたのだ。
後ろをひょこひょこと歩く女の子がいたことに気付いた彼が後ろを振り向き、そして女の子はお母さんでなかったことに気付いた。慌ててお母さんを探すが、当然見つかるはずもなく迷子になった。
さすがに目の前で迷子になっている少女を放っておくわけにもいかず、こうして話を聞いているのだった。
タケルにとって優先事項は服の調達。迷子に時間を取られてる暇はない。出来るだけ早くお母さんを見つけなければいけない。
「……少しだけ耳を塞いでくれ」
「?」
首を傾げつつも耳を塞いだマユを見届け、体を大勢の人が行きかう道に向ける。ため息を吐き、大きく息を吸い込んだ。
そして――
「マユとい
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